2020年3月13日、石川県能登地方を震源とした地震が発生し、輪島市では震度5強を観測。県道近くの斜面が崩れた (c)朝日新聞社
2020年3月13日、石川県能登地方を震源とした地震が発生し、輪島市では震度5強を観測。県道近くの斜面が崩れた (c)朝日新聞社
2020年に起きた震度5以上の地震 (週刊朝日2021年1月15日号より)
2020年に起きた震度5以上の地震 (週刊朝日2021年1月15日号より)

 地震大国、日本。コロナ禍のいま大地震が襲えば、混乱は必至だ。東北大学災害科学国際研究所の遠田晋次教授が話す。

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「ここ2年ほどの日本列島は比較的静かで、広範囲にわたり人や建物に被害が出る大地震はなかった。地震の科学的メカニズムには不明な点が多いですが、巨大地震の前は静かだという見方は根強くある。東日本大震災の前も2年ほどはあまり大きな地震がなかった。ですから、21年は要注意とみることもできます」

 20年秋以降、東北、北陸、伊豆諸島などで震度5以上の地震が続いているのも気になる。何かの予兆なのか。遠田教授はこう続ける。

「茨城や岩手、青森の地震は、広い意味で東日本大震災の余震と考えられます。巨大なプレートの境界がずれて起きた地震ですが、当時と同じ場所で再び大地震が起きるわけではなく、ひずみを解放した部分の周辺の地域にしわ寄せがいっていると考えられます」

 こうした「しわ寄せ」は、日本列島を支えるプレート間に新たなひずみをもたらし、日本列島は地震の「活発期」に入っているという指摘もある。

 気になるのは、太平洋沿岸に大きな被害をもたらすと予測される南海トラフ巨大地震だ。内閣府は地震対策の費用として21年度政府予算案に1億1700万円を計上しており、警戒ぶりがうかがえる。名古屋大学地震火山研究センターの山岡耕春教授はこう語る。

「南海トラフ地震は地震本部が今後30年以内にマグニチュード8~9クラスが発生する確率が70~80%と発表している。前回の発生からすでに70年以上経っているので、次に備えておく必要があると思います」

 前出の遠田教授もこう指摘する。

「南海トラフ地震は平均百数十年ごとに繰り返し起きていますが、間隔にはゆらぎがある。1944年の昭和東南海地震と46年の昭和南海地震が最後の南海トラフ地震ですが、過去の南海トラフ地震に比べると小規模だったため放出したエネルギーも少ない。そのため、次は100年を待たずして来るだろうという説が支持されている。早ければ、2020年代かもしれない」

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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