広島・大瀬良大地=7月10日(C)朝日新聞社
広島・大瀬良大地=7月10日(C)朝日新聞社
日本ハム・大田泰示=昨年9月26日(C)朝日新聞社
日本ハム・大田泰示=昨年9月26日(C)朝日新聞社

 今オフはフリーエージェント(FA)権を行使した場合に争奪戦が予想されたヤクルト・山田哲人、中日大野雄大が残留を表明したため、静かなストーブリーグとなっている。ただ、巨人は別だ。同一リーグのDeNA・梶谷隆幸と井納翔一の獲得に成功。セ・リーグ4連覇に向けて補強ポイントに合致する選手として口説き落とした。

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 1993年オフに導入されたFA制度で、巨人は獲得選手が28人と2位・ソフトバンクの13人の2倍以上で断トツに多い。落合博満、広沢克実、清原和博、工藤公康、江藤智、小笠原道大、村田修一、杉内俊哉、山口俊、丸佳浩……。豊富な資金力と巨人というブランドで、各球団の主軸やエースを獲得してチームの中心に据えてきた。

 ただ、昨オフは様相が異なった。FA宣言した美馬学(現・ロッテ)、鈴木大地(現・楽天)の獲得に名乗りを上げたが縁がなく、2012年以来7年ぶりにFAで獲得した選手がいなかった。この事態に、巨人ファンからは意外な反応が。

「鈴木大地が加入したら吉川尚輝が使われなかったかもしれない。吉川を育ててほしいので個人的にはFAで取らなくてよかった」

「もうFAで乱獲する時代ではない。生え抜きの若手にも好素材がたくさんいる」

 と前向きなコメントが多かった。

 育成と補強はチーム編成の両輪だ。巨人は今季、リーグ連覇を飾ったが、ソフトバンクに日本シリーズで2年連続4連敗を喫した。リードオフマンを固定できず、エース・菅野智之もポスティングシステムによるメジャー挑戦を表明したため、梶谷、井納の獲得に動くのは当然かもしれない。

 一方で、パ・リーグのある球団の編成担当からはこんな声も。

「浅村栄斗(楽天)、山田哲人のような特Aランクの選手以外はFAで取るべきではないと思う。梶谷、井納にパ・リーグの球団が獲得に名乗りを上げなかったのが象徴的です。生え抜きの選手たちがチームの中心にならなければ長期的に勝てない。しっかり目利きしないと、FAで取った選手が不良債権になってしまう。FA補強はチーム強化の上でデメリットにもなりえます」

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