確かに、4年連続日本一に輝いたソフトバンクは内川聖一が1軍出場なしに終わったこともあり、ベンチ入りメンバーにFA移籍で加入した選手は1人もいない。18、19年とリーグ覇者の西武もFAで他球団に流出する選手は多いが、獲得した選手は過去に3人のみ。山川穂高、森友哉、外崎修汰、源田壮亮、中村剛也、栗山巧、金子侑司の「山賊打線」は生え抜きの選手たちばかりだ。

 巨人がFA補強に力を入れてもパ・リーグとの差は埋まらないと、スポーツ紙デスクは分析する。

「ソフトバンクで柳田悠岐、千賀滉大、甲斐拓也、周東佑京らが、なぜ主力として素質を開花させたのか。育成の観点からセ・リーグの球団は見つめ直さないと。来年は広島・大瀬良大地、日本ハム・大田泰示が順調にいけばFA権を取得します。巨人は獲得に動く可能性が十分に考えられますが、他球団の主力を獲得してもソフトバンクとの差は簡単に埋まらないでしょう」

 確かに、FA選手の補強が必ずしもプラスアルファになるとは限らない。実際に獲得して成功だったと言えるケースは多くなく、巨人では野上亮磨、陽岱綱が結果を残せず、ファーム暮らしの時間のほうが長い。「FAの巨人」が球界の盟主に復権する日は訪れるだろうか。(牧忠則)

※週刊朝日オンライン限定記事