ニューヨークで育ち、動物愛護活動に長年携わる、ミュージシャンの坂本美雨さん。飼い猫への愛を語ってくれた。
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うちのサバ美は、「ちばわん」という動物愛護団体の里親募集ホームページを見ていて、一目惚れしてお迎えしました。
サバ美は過去に人間からひどい目にあっているにもかかわらず、人懐っこく人を恐れないので、これ以上虐待されないようにと保護された猫です。
サバ美はボランティア団体の方がつけた名前で、模様がサバのような感じなので、サバ美となったようです。サバ美って呼びにくいかなって思ったけど、長く暮らすと、なんだかしっくりきますね。今はサバとか、サバちゃんって呼んでいます。
サバ美はとにかくよく人を見る洞察力の鋭い猫です。それでいて甘えん坊なところもあってとてもかわいく、そのかわいさに慣れないですね。毎日かわいさを更新してくるんですよ。
サバ美と暮らし始めたころは独身でした。その後、結婚して、子どもが生まれ家族が増えていったので、一緒に人生を歩んできたという感じです。
子どもが生まれてからは、子どもへかける時間が多くなるのですが、子どもが寝て、サバ美と二人きりになったとき、私へ信頼を寄せてくれていることを実感して幸せな気持ちになり、それはとても貴重な時間だと感じます。見透かされているところもありますね。忙しくてサバ美と向き合えないときも、「わかっているよ」って、理解してくれているようです。サバ美は私にとってはかけがえのないパートナー。娘にはサバ美はお姉ちゃんだよと教えています。あなたよりもパパよりも早く家族だったんだから、リスペクトしなさいとも言っています。サバ美とママには、二人の歴史があるんだからねって。
娘にはよく、動物だからといって見下すような考え方はよくないということを伝えます。家族の一員としてリスペクトすること、まずは大人がそういう態度を示すことが大切だと思います。
サバ美が保護猫だったという縁もあり、10年前から「ランコントレ・ミグノン」という動物愛護団体でボランティアやチャリティーライブなどをしています。殺処分や虐待などの問題を減らし、動物にやさしい社会になるように続けていきたいなと思っています。
私はサバ美に楽しいこと、大切なこと、いろんなことを教えてもらいました。これからも、家族みんなでリスペクトし合い、楽しく暮らしていきたいです。(本誌・鮎川哲也)
※週刊朝日 2020年12月18日号
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