「医師や精神保健福祉士など医療機関のスタッフに困っていることを相談してください。よき治療者、支援者、仲間とつながると、安心が得られ、新たなことに挑戦するきっかけも手に入りやすくなります」(三家医師)

 統合失調症は、療養中の家族の対応が患者の予後に大きく影響することが知られている。頼りになるはずの家族が病気を正しく理解しないまま、「怠けていないで、働きなさい」などと責めたり愚痴をこぼしたりすれば、おちおち療養もしていられないばかりか、大きなストレスになる。過保護や過干渉も、回復を妨げる要因になるという。

「まず、家族も病気の正しい知識を身につけること。そして本人が安心して回復への道を歩けるように見守ることが大事です」(同)

 統合失調症は完治と言っていいほど症状がなくなる人もいる一方で、症状をコントロールしながら長く付き合わなければならないケースが多い。しかし当初は完治にこだわっていた人でも、病気と付き合っていくうちに折り合いをつけられるようになっていくという。

「病気になる前の仕事に戻れなかったり、思い描いていた進路が難しくなったりしても、自分が持っている力を上手に発揮して、新たな道を見つけたり、病気を乗り越えたことで大きく成長できた、という人も少なくありません。『自分なりの回復』を果たすには、焦らない、そしてあきらめないこと。社会の理解や協力も不可欠です」(同)

(ライター・谷わこ)

週刊朝日  2020年11月27日号