──ほかに、コロナに感染してみてわかった苦しみはありますか?

A:お金ですかね。当然、仕事はできなくなって収入は激減。持続化給付金を申請して100万円もらえましたけど、コロナの影響で仕事そのものが減って、なかなか収入は元に戻らない。

C:私は家族への影響が一番心苦しかったですね。子供は濃厚接触者なので、学校にそのことを報告しないといけないんです。でも、子供がイジメに遭うのが怖くて、妻と話し合ったうえで学校への報告はやめました。というのも、放課後に教室で友達とお絵かきしていた子が、別の友達から「それは“密”なんだよ」と責められて大泣きした、といった話がママ友の間で流れていたらしいんです。こんなの、パパがコロナだってバレたらクラスじゅうからイジメられるのは間違いないですから。

B:私も子供に対するイジメが一番心配でしたけど、学校と塾には報告しました。子供の終業式の前日に私の陽性が判明したので、子供が学校に行けなくなっても、そう問題はないだろうという判断でした。ただ、上の中学生の息子は不満タラタラでしたね。2週間、部活動に参加できなくなってしまったので。

A:周囲への影響は心配ですよね。同じ場所で感染した65歳の男性は、持病があったせいで重症化して、喉を切開したうえで人工呼吸器をつけられてしまいました。1週間は寝たきりだった。自分は軽症でも、うつされた人は重症化するおそれがある、というのは怖い。

B:回復しても、周囲の人から疑いの目を向けられるのもツライですよね。私は仕事復帰にあたって、取引先から「証明書を用意してくれ」と言われて、自費で抗体検査を受けに行きました。私自身、「もはや自分は抗体無双だ!」と思ってたのですが、検査結果は「抗体なし」。看護師さんに「感染してなくてよかったですね」と笑顔で言われてしまったので、つい最近まで陽性者だったことを言えませんでした。

(ジャーナリスト・田茂井治)

週刊朝日  2020年11月27日号