国立競技場そばに設置されている五輪マークのモニュメント (c)朝日新聞社
国立競技場そばに設置されている五輪マークのモニュメント (c)朝日新聞社
バイデン次期大統領 (c)朝日新聞社
バイデン次期大統領 (c)朝日新聞社

 来夏の東京五輪に向けて、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が11月15~18日の日程で来日した。菅義偉首相らと会談し、新型コロナ対策などについて議論する。バッハ会長は11日の理事会後のオンライン会見で「(菅首相との)話し合いでは中止は議論しない」と明言したが、作家の本間龍さんは「これはポーズ」と指摘する。

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「現在、観戦チケットの払い戻し中ですし、来日前に開催に不安を抱かせるようなまねはしないでしょう」

 本間さんは、「IOCがすでに日本政府や大会組織委員会に『開催はもはや難しい』という旨を伝達している」とする情報を複数の関係者から入手したという。

「欧州を中心に感染が再拡大しているのに、中止を議題に挙げないというのは逆に不自然。あらゆる可能性を検討するのが、組織として当然でしょう。IOCはすでに『中止も視野』のボールを投げている状態で、あとは日本側がそれを認めるかどうかという段階です」

 ジャーナリストの星浩さんも、こう語る。

「組織委や外務省の関係者らが、開催に後ろ向きな発言を漏らしています。欧州での感染拡大の影響で、10月下旬から実務的な会合が滞っているようです。IOCと日本側だけではなく、イギリス、フランス、ドイツなどの主要国関係者とも打ち合わせができていないとか。加えて、現状の欧州では五輪に向けた予選やそれに伴う練習も予定が立たない。開催への段取りを進めようにも進められず、頭を悩ませているというのが実情です」

 一方、米国のバイデン次期大統領の“助け舟”は期待できないのか。今年3月にトランプ大統領が延期について言及し、その後に決定したという経緯がある。しかも、最大の放映権料を払うのは米NBCだが……。

「米国は国内のコロナ対策で手いっぱい。前回は安倍・トランプという結びつきがありましたが、菅・バイデンの関係作りはこれから。期待するのは難しい」(星さん)

“決断”はいつになるのか。本間さんは言う。

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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