本誌の取材に応じた女性(撮影/岩下明日香)
本誌の取材に応じた女性(撮影/岩下明日香)

 聖路加国際病院(東京都中央区)でスピリチャル(心の)ケアを担当していたチャプレン(牧師)の男性から病院内で性被害を受けたとして、患者の女性が男性と病院を運営する聖路加国際大を相手取り、慰謝料など計約1160万円を求めて東京地裁に提訴した。提訴は11月1日付。女性は2日、東京都内で本誌の単独インタビューに応じ、こう訴えた。

「事実がウヤムヤになり、私が悪いようにされ、人格まで疑われてしまった。事実認定をしてもらって、その上で生きていきたい。人生を再構築したいんです」

 訴状などによると、女性は2016年から、難病の治療のため同病院に通院。17年5月8日、次のような被害を受けたという。

<チャプレン(牧師)は牧師控室のドアの内鍵を閉め、自らソファの上に仰向けで横になり、足裏、足首から始まり、ふくらはぎ、太もも、太ももの付け根までマッサージをするように原告に求めてきた。顔を背けていた原告(女性)に『もっとちゃんと見て』などと言いながら>

<被告(男性)は、『ズボンの上からじゃダメだ』『もうちょっと直接やってくれ』という趣旨のことを言って、ズボンのチャックを外し、下着姿となった>

 女性は本誌の取材に対し、当時の状況について改めて説明した。

「私は週に1度通院していたんです。診察が終わった夕方、チャプレンに少し話を聞いてもらおうと、院内の教会へ行きました。チャプレンの控室で、最初の1時間半ほどはまじめな話でしたが、そのうちに肩をもんでくれと言い出しました。私は最初、10分くらいでマッサージを止めようとしたら、さらに10分、また10分と延ばされ、だんだんと性的なマッサージへとエスカレートしていったんです」

「チャプレンは私の手首あたりを握り、上下に手を動かせて、下半身をマッサージさせました。私は控室に5時間も閉じ込められました。私が帰ろうとすると、立ちふさいだ。まさか、チャプレンに性感マッサージのようなことをさせられるなんて信じられなかった」

著者プロフィールを見る
上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

上田耕司の記事一覧はこちら
次のページ
ショートメールで「セクハラで逃げたい」