この問題を昨年より取材してきた本誌は女性が録音した記録の開示を求めたが、「今は難しい」との返事だった。代理人弁護士はこう語った。


「刑事事件はともかく、民事ではこの録音が今回の事件を示す証拠となります。明示的な拒否として、『わーっ』と大声を上げていなかったから、被告は同意があったと認識していたというように主張してくるでしょう。だが、同意はなかった。今回はきちっとしていきます」

 築地署では18年6月5日、「写真撮影報告書」を作成。女性の代理人弁護士が、検察庁に不起訴記録の開示請求をしたところ、入手できたという。

「その報告書には、聖路加のプライベートルームのどこに座っていたかなどをチャプレンが指さし、写真説明には『被疑者(チャプレン)が仰向けで寝転がり、被害者(女性)からマッサージを受けた』『被害者の服と下着をまくり上げ……』などと警察に指示説明した、とあるんですね」(代理人弁護士)

 19年4月になって大学側は第三者委員会を作って調査を始め、報告書を今年3月末にまとめた。内容は公表されていないが、代理人弁護士は言う。

「大学の調査では、チャプレンは女性からハグをしてきたなどと言っているようですので、警察の捜査段階における指示説明した内容と、全く正反対の食い違ったものになっています。その点も裁判で大きな争点になります」

 本誌では昨年10月11日、男性を直撃取材していた。

――実際に性的行為があったのですか。

「あー、なかったんですよ。メディアでは僕がびっくりするような内容しか報じられていなくて。なんか、こう、入り口をふさいだとか。何時間にも及んで(拘束した)とか。なかったんです。むしろ、私が急に抱きしめられてしまった」

――心のケアをしようとしたら、女性から抱きしめた? 

「そうですね。もう、蒸し返さないでほしい。私自身も、すごい傷になっておりまして。これは、一言でいうと冤罪(えんざい)としか言いようがない」

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「私が、されたんです」