文一といえば、官僚や法曹を目指すための王道だ。しかし、近年は公文書改ざんなど官僚の不祥事や、法曹人口の増加から弁護士の就職難が起きており、人気が落ちている。河合塾教育情報部の岩瀬香織チーフは、

「最近は外資系などの大企業を目指す動きが強い。そういった企業の就職を考えると、文二が有利と考えるのでしょう」

 理科類では理一で志願者が微減する一方で、理二で増加しそうだ。理二は近年志願者が減っており、狙い目と見られているようだ。さらに、石原部長はこう見る。

「理二人気の背景には、薬・農系への関心の高まりがある。コロナの影響で薬学に受験生の目が向いている。また、今後は食糧問題も重要になってくるため、農学への関心も強い」

 今年は安全志向や浪人生の減少で競争は緩和しそうだ。また、18歳人口も減少期に入っており、かつてと比べ、東大に入りやすい状況だ。岩瀬チーフは言う。

「努力が実を結びやすい状況。果敢に挑戦してほしい」

(本誌・吉崎洋夫)

週刊朝日  2020年11月6日号

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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