天皇、皇后両陛下 (c)朝日新聞社
天皇、皇后両陛下 (c)朝日新聞社
キーパーソンの杉田官房副長官 (c)朝日新聞社
キーパーソンの杉田官房副長官 (c)朝日新聞社
(左から)東大名誉教授・御厨貴氏、朝日新聞元編集委員・岩井克己氏
(左から)東大名誉教授・御厨貴氏、朝日新聞元編集委員・岩井克己氏

 秋篠宮さまが皇嗣になったことを宣言する立皇嗣の礼が11月8日に執り行われる。皇室有識者会議で座長代理を務めた御厨貴氏と岩井克己・朝日新聞元編集委員が菅新政権と令和皇室の関係についてZoom対談。これからの皇室のあり方についても話題は及んだ。

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【前編:「愛子さまを天皇に」は宮内庁から聞こえてこない?朝日新聞元編集委員が明かす】から続く

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御厨貴氏:菅義偉首相自身と宮内庁、皇室の距離感はどうでしょう。

岩井克己氏:皇居の乾通り公開は、平成の天皇陛下が傘寿の記念に「どうぞ、皆さん入ってください」と始めたものです。そのあと、当時の菅官房長官が「毎年、春秋にやれー」と言いだした。

御厨:菅さんは、「自分が開けさせたんだ」と。

岩井:宮内庁や皇宮警察は、「人が少なくて大変なのに」とぼやいていました。

御厨:官邸は、「宮内庁はサボることしか考えない」と(笑)。

──天皇の生前退位の意向が官邸の頭越しに報道されたと、当時の風岡典之宮内庁長官を官邸が更迭したとも言われました。

岩井:風岡さん本人と、その件を話したところ、「そういうわけでもないんだよね」といったふうでした。70歳になる年の年度末で退任のところ、数カ月の前倒し。しかし、外からは更迭に見えますね。

御厨:2016年7月に退位の一報がNHKに出たとき、杉田副長官は東京にいなかった。「自分が沖縄にいるときを狙ってやった」と怒ってはいましたし、杉田副長官が「天皇に会わせてくれ」と宮内庁に行ったら風岡宮内庁長官に「官房副長官では謁見できない」と言われている。良好といえない状況ではありました。

岩井:退任は、政府が退位について有識者会議を設置し、難しい調整と舵取りに入る時期でした。風岡さんのもとで交通整理がうまくいかなかった。退位と代替わり儀式を仕切るには、早めに若い山本信一郎次長へのバトンタッチが必要との判断もあったかと思います。

御厨:後任の山本信一郎前長官は、総務省出身で内閣府事務次官などを歴任してます。

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