映画の撮影現場では、60人以上いるスタッフ全員の名前を覚え、舞台の公演では観客が置いていったゴミを自ら片付ける。そんな証言の数々からついたニックネームは、「美談製造機」。兵役中、貴重な休暇に父親の経営するカルグクス(韓国式のうどん)屋を手伝い、噂を聞きつけたファンたちに手厚いファンサービスをしたことも。息の長い俳優になりそうだ。

 韓国では、カン・ハヌルのような“美談のアイコン”を、「パパミ(『掘っても掘っても、美談だけが出てくる』という意味の韓国語の略語)」という。芸能界のもう一人の有名パパミが、パク・ボゴム(27)だ。

「圧倒的な清潔感と優等生オーラ」(安部さん)

「聡明で透明。無垢という言葉がぴったり。彼の屈託のない笑顔を見ていると清らかな気持ちになる」(「韓国TVドラマガイド」高橋尚子編集チーフ、同誌18年6月号)
 
と、業界人がこぞって絶賛する彼。17年、宮中ロマンス「雲が描いた月明り」で日本でもブレークし、ファンミーティングには1万人が集まった。続く「ボーイフレンド」では、ホテルの女社長とそこで働く新入社員という男女逆転の構図で「年も地位も上の女性に恋する年下男子」を演じ、人気を不動のものに。

「『雲が描いた月明り』のイ・ヨン役もそうですが、『ボーイフレンド』のジニョクも、パク・ボゴムそのものといっていいほど、彼のイメージと重なるキャラクターでした。逆に言えば、彼は“いつも爽やかで淀みのない青年”という、本人の『こうありたい自分』という理想を演じているともいえます。爽やかな青年からどう脱却するのか。今後の彼の課題と言えます」(安部さん)

 8月31日に入隊にし、海軍軍楽兵として、約2年の任務にあたる。
 だが、兵役前に撮り終えた映画「ワンダーランド」の公開と、ドラマ「青春の記録」が放送され、当分は“不在”を感じなくてすみそうだ。彼の雄姿を直接見られるチャンスもあるかもしれない。毎年春に、韓国で行われる「軍港祭」で、海軍軍楽隊はパレードや公演をするのが通例だからだ。コロナが収束すれば、来年春、パク・ボゴムの軍服姿が生で見られる可能性もある。

「今回の入隊は固定されたイメージを変えるチャンスです。除隊後は、軍隊で培った経験を元に、これまでのイメージとは百八十度違う役に期待しています」(安部さん)

 除隊は、22年4月末の予定だ。

(ライター 酒井美絵子)

※週刊朝日9月11日号より抜粋