本件は、菅氏と自民党のマスコミ支配が新政権誕生前から既に始まっていたことを示している。
こうしたことが反復継続されると何が起きるか。
自民党総裁選や国政選挙では、問題点を明らかにする報道はしてはいけないという「特殊」な規範をマスコミ各社が自ら作り、それが徐々に「常識」に転化する。そうなると、今回のような文書が報道の自由を侵害する行為だと気づくことさえできなくなる。「前回もそうだったから」ということで、済んでしまう。
そこで、最後にガンジーの言葉を紹介したい。
──あなたがすることのほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。そうしたことをするのは世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられないようにするためである。
心ある記者の皆さんには、この言葉を胸に、頑張っていただきたい。
※週刊朝日 2020年10月2日号
■古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。主著『日本中枢の崩壊』(講談社文庫)など