9月8日に告示された自民党総裁選では、菅氏、石破茂元幹事長、岸田文雄政調会長の3氏が立候補。14日の投開票で新総裁を選出する。

「今年7月上旬、二階さんに会いに幹事長室に行った時、二階さんは『私と菅さんとは2人でいつも会っているけど、幹部同士は会っていないな。もっと、しっかり組まなきゃいけないな』と話していたんです。二階派と菅グループの幹部同士が顔合わせする会を開こうというニュアンスでした」

 布石は着々と打たれていた。二階氏は「次は菅」と決めていたというのは、何故か。

「二階さんにとって、岸田文雄政調会長とは何かとぶつかることが多かったんです。地方選挙では、互いが候補者を出して因縁の戦いをしている。昨年7月に行われた参院選でも、二階さんは岸田派の溝手顕正氏と同じ選挙区で票を競り合っていた河井案里氏の応援に行っている。何かとぶつかるから、岸田さんは二階さんにものを頼みにいったことがない」

 今回の総裁選では、安倍首相が岸田氏を応援せず、岸田氏にとってはハシゴをはずされた形となった。

「安倍さんが強い間は、岸田さんへの禅譲もあったでしょう。しかし、安倍さんは体を壊し、支持率も低下。安倍さんの力が弱くなると、禅譲はあり得ない。最大派閥である 細田派(98人)が岸田さんを応援しないのは、安倍さんがそれまでのように岸田さんを応援しようという強い気持ちを失ったんでしょう。岸田さんは新型コロナ対策の『条件付き給付金30万円』を提案し、閣議決定まで済んでいたのに二階さんと公明党の山口那津男代表にひっくり返された。岸田さんは、根回しをしたり、強引にものが引っ張ったりすることが苦手な資質だから、物足りなさを覚えたのでしょう」

 これまで、報道各社の「次の首相には誰がふさわしいか」というアンケート調査では、常に石破茂氏がぶっちぎりでトップを独走してきた。本来は石破氏が首相の座に就くのが自然にも思える。二階氏も、石破氏のパーティに講師として招かれることにOKを出していた。

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二階氏をカンカンにさせた麻生氏らの行動