会見で総裁選への出馬を表明する菅義偉官房長官(C)朝日新聞社
会見で総裁選への出馬を表明する菅義偉官房長官(C)朝日新聞社
大下英治氏(上田耕司撮影)
大下英治氏(上田耕司撮影)

 自民党内で「次の総理は菅で行こう」という路線はどのように敷かれて行ったのか。菅義偉官房長官と二階俊博自民党幹事長の両方と親しい間柄であるノンフィクションライターの大下英治氏が全内幕を明かす。

【写真】大下英治氏

 速攻で首相の座を奪取しにいった菅氏。安倍晋三首相が官邸で辞任を表明した8月28日の翌日、菅氏と二階氏、森山裕国対委員長の3人が赤坂議員宿舎で密談し、菅政権で行くことに決めたという。大下氏はこう語る。

「二階さん1人でも菅さん1人でも、天下は絶対獲れない。そこに森山さんが加われば、3人寄れば文殊の知恵ですよ。これまで、ポスト安倍の候補に何人もの政治家が上がって来たけれど、私は今回は菅さんがふさわしいと思っていた。だから、菅さんは総理になるためには二階さんと組むべきだと思っていた。自民党内で雪崩を打って各派閥が菅支持を打ち出し始めた8月31日、菅さんから私の携帯電話に『どうもありがとう』とお礼の電話がありました」

  大下氏はこれまで、 『直撃菅義偉 内閣官房長官』『ふたりの怪物  二階俊博と菅義偉』『内閣官房長官秘録』など、2人に関する著書を多数書いてきた。

 「2人がタッグを組むきっかけとなったのは、私が企画し、司会をした週刊朝日2017年2月17日号に掲載された二階さんと菅さんの対談なんですよ。 それまで、2人の対談というのは、どこにも見当たらなかった」

 その時が2人の初対談だった。記者もこの対談には同席したが、印象深かったのは、菅氏が「私のところ(官房長官)には、ありとあらゆる情報が集まる」と自信たっぷりに語っていたことだった。政治家のスキャンダルから芸能界、記者のスキャンダルまで、あらゆる情報が集まるのだろうと思った。

対談が終わった後、二階氏、菅氏と大下氏の3人だけで、都内のホテルの個室のあるレストランへ飲みに出かけた。

「3時間くらい飲みました。二階さんは遠藤三郎元建設相の秘書を11年務めた後に県議2期、菅さんは小此木彦三郎元建設相の秘書を11年務めた後に市議を2期していたから、お互いにうまが合う」

 大下氏が言うように、二階氏、菅氏の2人は国会議員までの道のりが似ている。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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「官房長官として強すぎるほどだった」