このうち、コロナの感染拡大によって生じるシナリオごとのスコアを全部足し合わせたのが「総合スコア」だ。プラスやマイナスの数値が大きいほどコロナによって増益や減益となるリスクが高いことを意味する。

 業績が上がるランキング上位には、1位のリニカルや2位のパラマウントベッドホールディングス(HD)など、医療関連の会社が目立つ。リニカルのほか、3位のシミックHD、13位のイナリサーチは、臨床試験(治験)など新薬の開発支援事業を手がけている。コロナの感染拡大で医薬品の開発需要が高まると、治験の受託やコンサルティングサービス受注が増え、業績アップにつながると見込まれている。

 4位の川本産業や7位のホギメディカル、9位のカイノス、14位の興研などは、マスクや消毒液といった衛生用品や、医療用の検査薬や器具を扱う。やはりコロナで国内外の病院や個人向けの「特需」が見込まれる。コンドーム大手として知られる48位の相模ゴム工業も、実は医療用のゴム手袋を手がけている。

 ランク入りした企業の中には、冒頭に紹介したメルカリ(31位)をはじめ、ITやAIといった先端技術を使って新しい分野を切り開いてきた会社が多い。

 楽天証券チーフ・ストラテジストの窪田真之さんはこう指摘する。

「AIやIoTなどを活用したIT革命の総仕上げである『第4次産業革命』の進行がコロナで加速した。今まで5年や10年かかるとみられていた進化が1年や2年になったイメージ。コロナ禍でリモートワークや電子商取引関連が好調です」

 フィスコ情報配信部アナリストの仲村幸浩さんも、デジタル関連の会社に注目している。

「IoTや5G、テレワーク、リモート教育、ITで事業の変革につなげる『デジタルトランスフォーメーション(DX)』などが注目です」

 6位のさくらインターネットは、サーバーのレンタルなどを手がける独立系のデータセンター運営会社だ。コロナ後は全社員に在宅勤務を求め、緊急事態宣言中に出社した社員に手当を払ったりするなど、働き方改革にも率先して取り組む。

 テレワークの普及が追い風なのは、8位のブイキューブ。ウェブ会議システムの国内大手だ。コロナ後はテレワークを導入する企業からの相談や受注が増え、8月13日に発表した1~6月期決算は売上高が前年同期比5%増の32億円、最終益は同2.2倍の4億円と増収増益だった。20年12月期の通期業績見通しも大きく引き上げている。

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