オンライン診療を手がけるメドレーは「コロナ後に、利用する病院が10倍以上増えた」という。

「オンライン診療と医療現場の人材紹介が二つの柱。医療介護求人サイトの『ジョブメドレー』はコンサルタントの介在がなく、単価を低く抑えることができています」(前出の仲村さん)

 マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆さんは「コロナでテクノロジーとヘルスを合わせた企業が優位になった」と医療分野の成長企業に注目する一人だ。

「日本で伸びているのは、医療情報専門サイトを運営するエムスリーのような、医療とテクノロジーを合わせた『ヘルステック』の会社です。富士フイルムは写真フィルムから、ヘルステックに舵を切っています」(広木さん)

 エムスリーは今回のランキング圏外(265位)だが、20年4~6月期の最終利益は64億円で前年同期に比べ約3割増。医薬品情報サイトの利用が国内外で増え、これまで低調だった治験関連やAI診断などの新事業の拡大が見込めるという。

 治験などで使用されるマウスを扱うトランスジェニックも40位にランクインした。

『コロナ後に生き残る会社 食える仕事 稼げる働き方』の著者で、コンサルティング会社ローランド・ベルガー前会長の遠藤功さんは主張する。

「経済や社会において『なくてはならない会社』になる必要がある。コロナで一気に需要が消え、『7割経済』と言われるほど経済全体のパイも小さくなりました。今よりも余裕があったコロナ前に何とか存続できていた『あってもなくてもいい会社』は、いずれ淘汰されるでしょう。新しい産業構造に対応し、新しい需要を生み出す会社に生まれ変われるかが問われています」

(本誌・池田正史、浅井秀樹)

週刊朝日  2020年8月28日号より抜粋

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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