会見する永寿総合病院の湯浅祐二院長 (撮影/松岡瑛理)
会見する永寿総合病院の湯浅祐二院長 (撮影/松岡瑛理)

 新型コロナウイルスの第2波到来が現実味を帯びてきた。7月3日に確認された国内新規感染者は250人。1日当たりの新規感染者が200人を突破したのは5月3日以来、約2カ月ぶりとなった。4日は263人とさらに増え、緊急事態宣言解除後では最多を更新した。

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 特に東京都は7月2日に107人、3日に124人、4日には131人と3日連続で100人を超えた。小池百合子都知事は4日、新型コロナ対応を担う西村康稔経済再生相と面会後、「都民に対して改めてのお願いであります。不要不急の他県への移動につきましてはご遠慮いただきたい」などと報道陣に話した。

 この状況で注目を集めるのが、都が導入した感染状況を示す新指標だ。都はこれまで自粛の段階的緩和や再要請の目安として、感染者数に着目した指標を設定していた。しかし、小池都知事は6月30日の会見で「現在は検査体制が大幅に充実し、医療提供体制も確保できている」との認識を表明。7月から新指標として、「新規陽性者数(週平均)」「東京消防庁救急相談センターへの相談件数」「新規陽性者における接触歴等不明者数と増加比」「PCR・抗原検査陽性率」「救急医療の東京ルールの適用件数」「入院患者数」「重症患者数」の7項目を設定すると発表した。今後は医師や専門家が週1回、状況を分析・評価し、都の対応を決める方針だという。

 新たな項目設定は第2波への備えとして有効なのか。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師は指摘する。

「指標が多すぎます。何が大切で何が大切でないのかがわかりにくい」

 上医師によれば、感染状況を正しく把握する上で本来必要な情報は「感染者数」と「死者数」の二つだ。

「感染者数の全貌(ぜんぼう)を把握しないことには、対策も講じようがありません。死者数は感染の重症化を示す目印。両者の数字をリアルタイムで公開する流れが、世界的に見ても対策の基本」

 特に正確な感染者数を把握するためには、感染の有無を判定するPCR検査体制の拡充が不可欠だと上医師は言う。

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