都内での通勤風景 ※写真はイメージです (c)朝日新聞社
都内での通勤風景 ※写真はイメージです (c)朝日新聞社
日本は海外のような感染爆発は起きていないと言われる。その理由は? (週刊朝日2020年7月3日号より)
日本は海外のような感染爆発は起きていないと言われる。その理由は? (週刊朝日2020年7月3日号より)

 緊急事態宣言が解除され、人や経済が動き出した一方で、新型コロナウイルスと闘っている最前線の医療現場では、患者が減少し、経営状況が悪化している病院が増えている。今後、医療はどう変わるのか。

【コロナ緊急アンケート】医師1500人に聞いた!今の医療現場の状況は?薬の効果は…

 すべての都道府県で緊急事態宣言が解除された(5月25日)後の6月上旬、本誌では全国の医師に緊急アンケート第2弾を実施。医師専用のコミュニティーサイトを運営するメドピア社の協力を得て、3日間で約1500人から回答を得た。現場の医師に聞いた。前回と同様、回答した医師のほとんどは感染症の専門家ではなく、さまざまな回答が寄せられた。

 多くの人が疑問に感じているであろう、「なぜ日本では感染爆発が起こっていないのか」問題を聞いた。ここで紹介するのは専門家の意見ではない。だが、興味深いものが多かった。

 目を引いたのは、「国民性」という言葉。この国民性と、それに近い言葉を挙げた回答は、なんと全体の15%ほど、200件を超えていた。具体的には「衛生に対する意識が、他国と比較すると高いことが理由の一つ」(岐阜・40代・眼科)、「国民の疾患に対する理解度が高い」(埼玉・50代・耳鼻咽喉科)、「要請をまじめに守る国民性」(大阪・60代・小児科)などだ。

 生活習慣などを挙げる医師も多かった。マスクをする習慣がある、家では靴を脱ぐ、家に帰ったら手洗い・うがいをしている、ハグやキス、握手をする習慣がない、箸を使って食べる、などだ。「日本語は飛沫(ひまつ)が飛びにくい言語だと、テレビで言っていた」(広島・50代・腎臓内科)、「手洗い、洗濯、洗浄などに必要な水が豊富で家庭でも不自由しない」(北海道・60代・一般内科)と、なるほど!と思うような回答もあった。

 東アジア全体で感染者数が抑えられていることから、「人種要因が大きいのでは」(東京・30代・血液内科)、「東アジアに共通する、何か遺伝子的なコロナにかかりにくい体質が関係」(岡山・40代・内分泌科)といった、免疫や体質に関する可能性を指摘した回答も多かった。このほか、結核の予防接種であるBCGを理由に挙げる回答も70件ほど。対して、「たまたま」「検査数が少ないので、そう見えているだけ」という回答を寄せる医師もいた。

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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