ひき肉にはんぺんを混ぜて焼いた焼き肉風。これならかみやすく、のみ込みやすい=写真は岩本さん提供
ひき肉にはんぺんを混ぜて焼いた焼き肉風。これならかみやすく、のみ込みやすい=写真は岩本さん提供
うどんに溶いた卵をのせた、かき玉うどん。これでたんぱく質をプラスできる=写真は岩本さん提供
うどんに溶いた卵をのせた、かき玉うどん。これでたんぱく質をプラスできる=写真は岩本さん提供

 新型コロナウイルスによる外出自粛要請の影響で、外に出ない生活が続いている人も多い。体を動かす機会も減り、偏った食事をしていないだろうか? そんな人は「隠れ栄養失調」に陥る可能性がある。栄養失調には見えない、という体形の人も油断は禁物。それが「隠れ」の怖いところなのだ。

【写真】たんぱく質をプラスできる かき玉うどん

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 突然だが、最近の食事のメニューを思い出していただきたい。

 朝はご飯にみそ汁、漬物。昼はパン、うどん、あるいは丼もので、おやつに甘い菓子。夜はご飯にみそ汁とおかず1品。その後、くつろぎながら軽くお菓子……。

 すべて同じと言わないまでも、炭水化物が中心で、肉や魚、野菜、大豆製品や乳製品、果物はあまり食べていないという人は、注意が必要だ。

 さらにもう一点、以下の特徴に当てはまる人も気をつけてほしい。

 自身の体形は「ぽっちゃり形(と思われる)」。それも、水太りの傾向があり、肌はどちらかというと透き通っていてモチモチ。むくみやすく、風邪を引きがちで、疲れやすい体質。

 これらに該当する人は、隠れ栄養失調の疑いがある。

 隠れ栄養失調とは、新型栄養失調ともいわれ、ここ数年で出てきた新しい概念だ。長年、高齢者の介護予防に取り組んできた東京都健康長寿医療センター研究所・研究部長の大渕修一さんがこう説明する。

「新型栄養失調とは、“エネルギーは十分に取っているけれど、栄養が足りていない状態”のこと。低栄養ならやせているだろうと思う人も多いでしょうが、実は反対で、エネルギーは足りているので、ぽっちゃりしている方が案外、少なくないのです」

 こうなる原因について、大渕さんは「たんぱく質不足」と指摘する。

 たんぱく質は、細胞内に水を取り込んだり、排出したりする機能に関わっている。たんぱく質が足りなくなると細胞は水を取り込むようになるため、細胞内の水分量が増え、ぽっちゃりした見た目になるという。

「高齢になると、さまざまな理由で食事の内容がご飯やパンなどの炭水化物に偏りがちになります。手軽な総菜パンや菓子パンで食事を済ませてしまう傾向もあります。困ったことに、栄養は足りていなくてもおなかがいっぱいになるので、それで満足してしまう」(大渕さん)

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