「訃報に接して、『嘘!』って、それしか声が出ませんでした。どうしようかと迷ったのですが、獏さんに電話をかけたところ、最初は出られませんでした。それどころではなかったと思うのに、折り返しのお電話をくださり、『僕は大丈夫だから、本当に大丈夫だから』とおっしゃり、そのメッセージを託してくださいました。私のリポーターという仕事を理解してくださった上で、連絡をしたこちらが罪悪感を抱かないよう、リポーターとして伝えるべきことを伝えるようにメッセージを託してくれたのでしょうね」


 
 家族仲もとてもよく、笑顔やおしゃべりは常に絶えなかったと長谷川さんは語る。

「友達夫婦のようなところもあり、岡江さんはずっと『獏ちゃん』って呼んでいました。ご家族みんなお話が大好きで、特に岡江さんは、ずっとおしゃべりが絶えず、一日中岡江さんの声が聞こえてくるようなご家庭。美帆さんはどうしても話さないといけない時には手を上げていたこともあったそうです(笑)」

 岡江さんのどんなところが大和田さんは気にいったのか、馴れ初めを長谷川さんは聞いたことがあった。

「お二人が出会った番組であるNHKの『連想ゲーム』の関係者で、大人数で食事に行ったことがあったそうです。座敷に上がるお店だったそうなのですが、その時最後に上がる岡江さんを獏さんが見ていたら、全員の靴をきちんと揃えていたそうです。その姿に、いい子だなと思ったそうなんですね」

 家族旅行にもよく出かけていて、今年のお正月には名古屋にある大和田獏さんの実家をたずねたという。

「美帆さんのお子さん、岡江さんにとってはお孫さんも連れて、みんなで獏さんのお母さんに会いに行かれたそうなんです。年末に乳がんの手術をされ、1月末に放射線治療を始めるまでの間の期間になりますが、それほど体調は良かったのでしょうね」

 結果的に、それが最後の家族旅行となってしまった。

「コロナウイルス感染の恐ろしさを強く感じました」

 と、長谷川さんは悔しさを噛みしめる。岡江さんのお別れの会は後日、開かれる予定だという。
(本誌・太田サトル)

※週刊朝日オンライン限定記事