──木村さん演じる風間という人物は、原作者ですら、まだ全貌が掴めていないという。自身は、風間という人物をどんなふうに捉えているか。

 彼は、もともとは現場で働いていた刑事。ある衝撃的な出来事を機に、どこか現実に対する彼なりの納得できない部分があって、それがずっと心のどこかに引っかかってる。その引っかかりがずっと取れないから現場から退いて、(警察官の卵という)“人”を強くするために教官になった。非常にストレスに満ちている人でもあります。僕も、彼の幸せって何なんだろうなって、ずっと探していました。ただ演じている中で、「あ、この瞬間かな」というのはあったから、救われた。一つ言えるのは、自分の幸せのために生きてる人ではないということですね。

──風間という人物に、個人的に惹かれるところはどんなところか。

 人としてすごく魅力を感じる部分であり共感できる部分は、絶対逃げないところ。自分もこうできたらいいなと思います。

──作品を通じて、何か変わった部分はあるか。

 今回この作品をやらせていただいて、警察官に対する見る目が変わりました。現場に立たれている皆さんは間違いなく警察学校という空間で、ある時を過ごしている。風間が、ある生徒に対して伝えるメッセージがあるんですけど、今まで自分の人生の中で警察官に持っていたイメージとはちょっと違う表現でした。

 僕自身、幼少期に習い事で剣道をやってて、その時の師範が全員警察官や刑事さんだったんです。だから警察官と自分には、実はリアルな接点があった。今までわりと安易に「ルールの人なんでしょ」と思ってたけど、そこにいたるまでの過程を、わずかながら知れたことでイメージが変わりました。

──今年の抱負は。

 オリンピックをはじめ、いろいろと大きなイベントも控えていますし、そんな中、自分がどんな現場に赴くことになるのか。決まっているものもありますけど、自分の取り組み方次第で大きく変わってくると思っています。

(1月8日に発売になるアルバムに関しては)いろんなアーティストの方が自分の背中を押してくれた。これを機に、マイクの前に立つシチュエーションも、視野に入れることになるのかなとは思います。

──新たに挑戦してみたいことはあるか。

 うーん、新たな挑戦というよりは、継続かな。演技にしかり歌にしかり、やってきたことを深めるような年にできたらと思います。

──2020年を、どんな年にしたいか。

 出会いの豊かな年にしたいですね。その中にはきっと、再会も含まれていることもあるだろうし。今回のドラマの中江功監督もまさにその一人だけど、「今回もよろしくお願いします」というシチュエーションもきっとある。今年は、国家レベルでアニバーサリーな一年になると思う。でもそこで浮かれることなく、ちゃんと地に足がついた状態で、少しずつでもいいから前進したいなと思います。

(構成/本誌・松岡かすみ)

週刊朝日  2020年1月17日号

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松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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