タイヤの空気圧を70%に減らした試乗車。カーブのとき、正常なタイヤより沈み込みが大きい (c)朝日新聞社
タイヤの空気圧を70%に減らした試乗車。カーブのとき、正常なタイヤより沈み込みが大きい (c)朝日新聞社
バーストしたトラック用タイヤ=日本自動車タイヤ協会提供
バーストしたトラック用タイヤ=日本自動車タイヤ協会提供
(週刊朝日2020年1月3-10日合併号より)
(週刊朝日2020年1月3-10日合併号より)

 車を運転中にタイヤがバースト(破裂)すると、ハンドルを取られて大事故になる恐れがある。パンクなどを含めたタイヤ故障による日本自動車連盟(JAF)の救援件数はこの10年で十数万件も増え、2018年度は約41.5万件に達した。帰省のため長距離を走る年末年始に要請が多いという。バーストが起きる理由と防止法を紹介する。

【写真】バーストしたトラック用タイヤ

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 東京都内で働く50代の男性は、高速道路で目前を走る車のタイヤがバーストした。片側3車線のうち真ん中の車線を走行中だった。

「左側車線の少し前方を走る車から何か小石ぐらいのものが飛び散り、自分の車のバンパーにボンボンとぶつかってきた。横目で問題の車を見ると、とても古い車で、タイヤから煙が出ていて、ガタつきながら減速していました」

 JAFによると、出動件数全体に占めるタイヤ故障の割合も上昇傾向。2009年度までは10%前後だったが、18年度は18%を超えた。タイヤ故障の内訳は未公表だが、タイヤ業界関係者は「道路事情が良くなり通常のパンクは減っている」と指摘。パンクよりもバーストが増えている可能性がある。

 バーストが起きる要因はさまざまだ。路面の石といった障害物を踏むなど防げない場合もあるが、防ぐことができる場合も少なくない。日本自動車タイヤ協会の担当者はこう話す。

「空気圧不足はバーストになる可能性があります。速度が上がると、過度にタイヤが変形して異常発熱することがあるからです」

 タイヤには指定空気圧がある。これを下回ると空気圧不足になる。日本自動車タイヤ協会によると、乗用車用タイヤの空気圧は1カ月で5~10%程度低下する。少なくとも月1回の空気圧点検を呼び掛けている。

 ところが、月1回の空気圧点検を怠る人が少なくない。JAFの17年のアンケートで、1カ月以内の間隔でタイヤ点検する人は27.4%にとどまった。

 東名高速道路浜名湖サービスエリアで日本自動車タイヤ協会が19年10月に実施したタイヤ点検では、乗用車の48.8%が空気圧不足だった。アンケートでは、空気圧点検は月1回以上が13.7%にとどまり、最も多かったのが年2回程度で43.6%だった。

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