こうした調査は、住友ゴム工業でも春と秋に道の駅などで実施している。19年秋の調査によると、タイヤの整備不良率が42.8%、空気圧の過不足が28.4%と高く、残溝不足9.4%、部分的に異常に摩耗した偏摩耗8.8%、表面損傷8.2%などだった。

 点検する人が少ない理由として、前出の日本自動車タイヤ協会の担当者はこう話す。

「車の性能が良くなっており、ボンネットを開けてエンジンオイルや冷却水をチェックする人は少なくなっています。昔に比べ、車のメンテナンスへの意識が薄れてきているのではないでしょうか。タイヤの空気圧が自然に低下するのは昔と変わらないのですが」

 業界関係者たちは、セルフスタンドが多くなり自分で空気圧などのメンテをしなくなったこと、電気自動車なら給油に行く必要がないこと、車の燃費が向上して給油頻度が減っていることなども指摘する。

 ひとたびバーストが起きるとハンドル制御が難しくなる。都内の会社で働く別の50代男性は、これまで2度のバースト経験があり、「すごく怖かった」と振り返る。

 富士山近くの山道で、前を走るスポーツカーを追うように運転していると、タイヤが突然、バーストした。ゆっくり車を止めると、左後ろのタイヤが横側から破裂していた。男性は「カーブでタイヤを縁石に擦ったのかもしれません」と言う。

 この男性は東北自動車道を夜間走行中にもバーストを経験した。追い越し車線を走行中に缶を踏んだようで、後ろから煙が出ていると後部座席の同乗者が気づき、ほぼ同時に車がガタついてきた。何とか左側の車線に車を寄せ、路側帯に止めた。男性は「右側後輪のタイヤがボロボロになっていました」と話している。

 タイヤ業界関係者は、「バーストが、特に前輪、つまり操舵(そうだ)輪で起こると制御しにくくなります」と指摘する。

 具体的にタイヤの点検はどうすればいいのだろうか。自分が運転する車の指定空気圧は、運転席のドアを開けた車体部分に表示があり、チェックできる。日本自動車タイヤ協会では、指定空気圧を基準に0~+20キロパスカルの範囲にするよう推奨する。給油の際にスタンドでタイヤに空気を入れるのが一般的だろう。

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