NHK (c)朝日新聞社
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日本での「安楽死」の分類 (週刊朝日2019年12月27日号より)
日本での「安楽死」の分類 (週刊朝日2019年12月27日号より)

 医師の幇助による自殺が認められているスイスに渡った難病患者を取材したNHKのドキュメンタリー番組が波紋を呼んでいる。障害者・難病患者の支援団体が放送倫理上問題があるなどとして声明を出した。医療ジャーナリスト・福原麻希氏が問題点とその背景を取材した。

【図表】安楽死、尊厳死…日本での「安楽死」の分類とは

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 番組は今年6月放送のNHKスペシャル「彼女は安楽死を選んだ」(詳細は後述)。放送後に障害者や難病患者の自立生活を推進する団体「日本自立生活センター(JCIL)」(京都市)が「障害者・難病患者の尊厳や生命を脅かす」として声明を出した。NHKに質問状を送り、回答を得た上で、さらに放送倫理・番組向上機構(BPO)に放送倫理上の問題の有無の調査・審議を依頼した。障害者や難病患者に、番組はどのように映ったのか。

 まずはこの番組を見た人を取材した中で聞いた、ある重度障害者の女性の声を紹介する。

 京都市在住の岡山祐美さん(39)は頭や首を支えるヘッドレストと背もたれがなければ、上半身が崩れ落ちてしまい座ることもできない。食事・寝返り・トイレなど、生活のすべてで介助が必要なため、24時間連続の重度訪問介護を利用しながら、家族と離れて一人で暮らす。

 20歳のとき、難病に指定されている遠位型ミオパチーと診断された。「ミオパチー」とは筋肉が萎縮し筋力が低下する進行性の病気の総称。遠位型は指先や足首から障害が起こる。

 症状は中学3年、15歳の頃から表れ、高校生の頃はよく転んだ。大学卒業後、金融機関で働いたが、歩けなくなって通勤が困難になり、1年後に辞めざるを得なくなった。

 実家で親と暮らした。親から介護を受けることへの抵抗感や申し訳なさが積み重なった。家族も岡山さんも、将来像を思い描くことができなかった。

「その頃は、ふと気づくと、病気の進行によって生活でできないことが増えていた時期で……。毎日を生きることがしんどくて、しんどくて。寝るとき、このまま朝が来なくてもいいとさえ思っていました」

 だから、岡山さんは放送当日、番組を見ながら女性の気持ちに共感したという。

「あの頃だったら、『こんなふうにラクになれたらいいな。うらやましいな』と思っただろうな」と言う。

 そんな苦しい日々が変わるきっかけは、重度訪問介護を利用して、一人暮らしをしている人がいると知ったことだ。親亡き後の生活を考え、公的介助によって重度障害者でも主体的に生きていけるならやってみようと考えた。34歳で実家を出て、5年になる。

 三十数人のヘルパーが入れ替わり家に入るため、慣れるまでは気持ちが落ち着かなかった。だが、いまの生活をこう話す。

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