学校法人明浄学院(c)朝日新聞社
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明浄学院の元理事長、大橋美枝子容疑者
明浄学院の元理事長、大橋美枝子容疑者

 大阪地検特捜部が学校法人明浄学院(大阪府取町)の元理事長、大橋美枝子容疑者らを21億円の横領容疑で逮捕した事件が拡大している。

【写真】明浄学院の元理事長、大橋美枝子容疑者

 大阪地検特捜部は16日、東証一部上場の地場不動産大手、プレサンスコーポレーション社長(本社・大阪市)の山岸忍容疑者も共謀の疑いがあるとして業務上横領容疑で逮捕した。

 大橋容疑者は経営難から学校法人明浄学院の傘下、明浄学院高校(大阪市阿倍野区)の校地の半分の土地を31億円で大阪市内の不動産会社に売却を計画。2016年7月、入金された手付金21億円を別の口座に移すなどして横領した疑いだ。

 大橋容疑者はどんな人物なのか。

「過去に暴力団が関係した事件で逮捕された過去がある人物と聞いています。教員免許もなく、教育とは今までかかわりがなかった。2016年に副理事長として経営難だった、明浄学院を立て直すという理由でやってきました。しかし、教育は二の次でカネ、カネ、カネの話ばっかり。気に入らないと、『うちが5億円寄付集めてきた。文句あるんか』と怒鳴り散らすようなおばさん。その恫喝で30人以上の先生が辞めていった。学内では『女ヤクザか』との声があがるほどです」(学校関係者)

 それを象徴するような、写真を入手した。2018年4月23日、大阪市内で開催された明浄学院の懇親会。余興のじゃんけん大会がはじまると、大橋容疑者は財布から、現金1万円を取り出し、「これが理事長賞や」と嬉しそうに、教職員に宣言したという。

「学校法人のトップが、いくら懇親会とはいえ、じゃんけん大会の商品に現金をポケットから取り出して、無茶苦茶です。21億円も横領したので、大橋容疑者にとってはたいした金額ではなかったのかもしれないですがね」(前出の学校関係者)

 明浄学院高校は、大阪の繁華街、あべのハルカスで知られる天王寺に近くにあった。利便性や住環境も良好のことから大橋容疑者は2016年から2017年にかけて校地をすべてマンション業者に売り払い、大阪府吹田市に移転する計画をしていた。その内部文書が手元にある。

 廃校になった、吹田市の小学校跡地を買い、移転しようとしていた。
大橋容疑者が作成した資料によれば、移転が決まれば、明浄学院高校と系列の大阪観光大学のサテライト校を開校させ、一部は外部にもテナントとして貸し出し、<80億円は儲かる事業>などと書き記している。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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