林:「八つ墓村」は、あのコワいお姉さんの役をなさるんですか。

河合:そうです。映画では小川眞由美さんがやられた役ですね。

林:これはすごい当たり狂言になりそうな気がしますよ。メチャクチャおもしろそう。ネタバレになっちゃうけど、あのやさしいお姉さんが「ウソだろ!」みたいになるわけでしょう? 雪之丞さんがその声とお顔でどうやるのかと思うと、ゾクゾクしてきます。

河合:どうしましょうか(笑)。

林:二代目の水谷八重子さんって、私、ラメのドレスで踊りながらジャズを歌ってたのを覚えてますよ。

河合:脚が長くて腰が高くてね。今も歌、やられてますよ。

林:今の若い人、そんなこと知らないですよね。その水谷さんが今は新派を継がれて、歌舞伎からきた雪之丞さんとか喜多村さんがいて、そう思うと新派っていろんなものが混ざり合ってますよね。皆さん一度見に行くと、こんなにおもしろいのかって思うんじゃないですか。

河合:食わず嫌いのところもあると思いますが、日本人に生まれてよかったなと思っていただける作品がたくさんあるし、エンターテインメントとしても骨の太いものなので、ぜひ一度劇場に足を運んでいただければと思いますね。

(構成/本誌・松岡かすみ)

週刊朝日  2019年12月20日号より抜粋