「西洋は時間の経過に注目して因果的に世界の現象をとらえようとしたのに対して、中国は空間的事物相互の間にはりめぐらされた見えない作用に即して世界を見てきたのである」(『身体の宇宙性─東洋と西洋』岩波書店)

 生命場とはまさにこの、「空間的事物相互の間にはりめぐらされた見えない作用」なのです。生命場は体の中だけにとどまりません。例えば、私が病院で診療しているときは、私の生命のエネルギーは私の中だけでなく、病院全体に広がっているのです。私以外のスタッフ、患者さんのエネルギーもそこに加わります。さらに埼玉県川越市という地域に広がり、日本全国に広がり、地球上に広がり、そして、宇宙まで届くのです。

 ですからよい場に身を置くというのは、自分の周りで生命のエネルギーが高まっていて、生命場がいい状態にあるということです。

 生命のエネルギーが高い人が身近にいてくれたらいいですね。

 それは、人間に限らないかもしれません。ペットを愛する人にとっては、ちゃんやワンちゃんの生命のエネルギーが、身の回りの生命場を高めることにつながるはずです。

 歳をとると、生命のエネルギーが衰退しがちです。そういう時は、できるだけ生命場が高まっているところに身を置くようにしましょう。それもナイス・エイジングの方法です。

週刊朝日  2019年12月13日号

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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