販売元のティ・アール・エイによると、睡眠導入剤を服用していた女性がこれを使ってみたところ、10日弱で薬なしで寝られるようになったという。

 最後の一つは「THIM(シム)」。親指サイズの機械を、指先に装着するようになっている。睡眠学者による研究に基づいて開発された睡眠トレーニング用アイテムだ。

 スマートフォンにアプリを入れ、睡眠時に本体と同期させる。指先に装着して横になると、30秒に1回、本体がブルブルと震える。振動を感じたら、まだ寝ていないことを知らせるために本体を指で軽くたたく。

 何度か繰り返すうちに眠りに落ちると、振動に気付かなくなるのだが、再び振動によって起こされてしまう。「せっかく寝たのに何で起こされるの?」と文句の一つも言いたくなるが、実はこれが重要なポイント。

 睡眠学者の研究によると、不眠や睡眠の質向上のためには、「眠りに落ちる感覚を繰り返し体感する」ことが効果的だというのだ。そのため、この装置を毎晩装着することで、眠りに落ちる感覚を体に覚え込ませていくというのだ。

 アプリには、本体によって測定された入眠時間、浅い睡眠、深い睡眠、起床時間などのデータが記録される。データをもとに睡眠効率(85%以上がいい睡眠の目安)が算出されるが、記者もトレーニングを重ねていくうちに90%を超える日が出てきた。数字で可視化されることも喜びにつながり、いい睡眠にプラスになっているような気がした。

 実はベッド自体も著しい進化を遂げている。パラマウントベッドが今年6月に発売した「Active Sleep BED(アクティブスリープ ベッド)」だ。これは、背や足の部分に角度をつけられる“ハイテクベッド”。同社は医療、介護用ベッドのトップブランドで、今までの研究の結果、人は角度をつけたほうが眠りやすいことに着目したという。

「背中の角度が少し起きているほうが、気道や横隔膜にかかる重力が変わり、呼吸しやすくなります。足も角度をつけたほうが筋肉への負荷が少なくなるので、リラックスできるのです」(パラマウントベッド・小澤卓矢さん)

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