南:彼女はニューヨークの家を出てカリフォルニアに行って、そこで私自身を発見した、という話を彼にするんですけど、そのときに先生が「カホも東京からカリフォルニアに来たわけでしょ。その感覚をそのまま使ったらいいのよ」みたいなことを言ったんです。ちょっとしたヒントなんですけど、仕事の現場ではなかなか試せないことなので、そうやって自分を放り投げるようにして現場に向かうほうが、いろんなものが選び取れるのかなと学んだりして、すごく濃い1週間でしたね。

林:向こうに進出しようと思ってるんですか。

南:ないですね、それは。

林:英語をやる理由は……。

南:理由はたった一つ。どこにいても自分でいるためです。

林:まあ、素晴らしい。英語ができたら、一人でいろんなところに行けるもんね。

南:どこにいてもドキドキしない自分になったらいいなと思って。

林:私、何年やってもしゃべれないから、ヤんなっちゃった。

南:わかります。日本にいたらそうでしょう。だから1週間でも行ったほうが早いですよ。朝から午後までずっと英語漬けで、周りも英語しかしゃべらないから、入ってくる音が全部英語じゃないですか。

林:ハワイなんかいいな。ぼーっとしながら英語漬けになって。

南:うん、いいと思う。学校いっぱいありますよ。

林:でも、日本人多そうだし、結局友達を電話で呼び出して日本食を食べたりして。私の性格だと(笑)。

南:アハハハ。

林:息子さんも、もう結婚なさったそうですね。

南:まだ学生ですけど、若くして結婚しました。相手がすごくいいお嬢さんで、ほんとに娘ができたみたい。向こうも変な遠慮がないし、すごくいい感じですね。それもたぶん息子があいだに立っていてくれるから、いい関係が築けてるのかなと思って。

林:幸せですね。健康を取り戻して、お仕事もバリバリされて、優しい息子さんもいて。

南:でもね、真理子さん。私、本当の幸せをまだ知らないような気がするんですよ。

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