乳がんの手術、そして離婚を乗り越え、笑顔を取り戻した南果歩さん。舞台にドラマにと、仕事に熱中する一方で、休みが取れたら英語を習いに海外へひとっとび。病を経験したからこそ、貪欲な姿勢で、生きることを謳歌しています。作家の林真理子さんがそんな彼女の今を深堀りします。
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林:お仕事も順調ですね。英語も熱心に勉強されてるんですって? ふつう有名人って、高いレッスン料で英語を習うのに、果歩さんはアメリカに行って移民用の英語スクールに通ってたんでしょう?
南:アダルトスクールに行ってました。アダルトスクールって、なんかいかがわしい感じがするんだけど、公共の英語学校で、タダなんです。
林:そういうところに行って、南米の人とか中国の人と一緒に英語を習って、まったく物怖じすることなく友達になっちゃうんですよね。ふつう有名人はそんなことしませんよ。
南:そうなのかな。今年もサンフランシスコに1週間、ロスに1週間行ってきました。サンフランシスコではふつうの語学学校に朝9時から14時半まで行って、宿題やって、そのあと家庭教師の先生に1時間習って、1週間英語漬けでした。そこでも友達ができて、楽しかったですよ。ロスでは、英語のアクティングクラスを受けてきたんです。
林:昔、マリリン・モンローとかすごいスターが、自分をレベルアップするために行った学校ですね。
南:そうなんです。4日間、集中講座でやったんですけど、すごくおもしろかった。事前にテキストとして送られてきたのが、映画「クレイマー、クレイマー」で、夫婦役のダスティン・ホフマンとメリル・ストリープがカフェテラスで話すシーンだったんです。
林:ええ。
南:メリル・ストリープが演じたのはジョアンナという役なんだけど、「私の今までの人生は、誰かの娘、誰かの妻、誰かの母であって、私自身として生きてこなかったような気がする」というジョアンナのセリフがあるんです。
林:ありましたね。