また岡部さんが「念入りなケアを」とすすめるのは“かかと”だ。

「僕も60歳前から始まったのですが、年をとってくると、かかとは乾燥してどんどん割れてくるのです」

 かかとはもともと油分が少なく、乾燥しやすい場所。そして肌の生まれ変わり(ターンオーバー)の周期が長く、古い角質がたまって厚くなりやすい場所だ。「一般的に肌のターンオーバーは加齢と共に遅くなってきます。そうするとかかとの角質はますます分厚くなり、がさがさにひび割れてくるという悪循環を起こします。ひび割れから出血等が始まると回復するまでに非常に時間がかかります」

 歩くときにかかとが痛いと、歩いたり、運動すること自体を控えるようになってしまう。これは体全体を老化させることにつながる。

「かかとは正しい歩行のためにも十分保湿して、割れないように予防しましょう。かかとは美容オイルまたはバームのように、より保湿力の高いものでケアすることもおすすめです」

 また、忘れてはいけないのが唇ケアだ。唇には皮脂腺も汗腺もないので、保湿機能が低い。

「しかし、荒れると非常に目立つ場所です。リップクリームはシニアこそ、必需品ではないでしょうか。年齢を重ねるごとに男性に求められるのは、“おしゃれ感”をアピールすることよりも、“清潔感”があるように見せることです。顔の肌や唇、爪、手、腕。他人から見える部分のケアが行き届いているひとというのは、やはり“きちんとした印象”を第三者に与えるものです。これは何歳になっても仕事を続けていくための必須条件だと思います」

 きちんとした印象と共に“機嫌よく生きている感じ”も大切にしてほしいと岡部さんは言う。

「結局ひとというものは、毎日楽しそうに、機嫌よく生きているひとの元に集まってくるものですからね。趣味をたくさん持ちながら、残りの人生、自分がやれることをやり切って生きる気持ちが大切です」

 なるほど。これからシニア男性が目ざしていくべきは、毎日心地よく自分のケアをし、自分に対する自信も、新しいことに対する好奇心も失わずに生きていく“いつも機嫌のいい美爺”なのかもしれない。

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