患者が増えている背景として、食生活の欧米化が進んでいることのほか、診断機器の向上で小さな結石が見つかるようになったと指摘するのは、東京腎泌尿器センター大和病院・泌尿器科の山本隆次医師。尿検査で血液が混じっていないか調べるほか、腹部CT検査でX線を使って断面を撮影したり、超音波(エコー)検査をしたりする。

「痛みがない場合はたいてい血尿があります。痛みは結石の大きさと関係なく、小さくても痛い人もいます。ほとんどは自然排石されていますが、小さい石でも詰まることがあります」

 痛みがあれば結石の発見につながりやすいが、痛みがない場合は大変だと山本医師は話している。腎臓は血液から老廃物などを濾過(ろか)して尿をつくるが、結石が障害となって尿路が詰まり、腎臓の機能が低下して腎不全に陥ることもあるからだ。結石が腎臓にあるうちは症状が全くないこともあるという。

 検査などで結石が見つかると、最初は尿管を広げるなど排出を促進する薬を使い、自然排石を試みることになる。結石による尿路の閉塞期間が長くなると腎臓の機能が悪くなるため、だいたい3カ月ぐらいがめどになるという。

 ここで問題になるのは、痛みがなくなって治ったと自己判断して病院に通わなくなる患者がいること。腎臓機能の悪化につながらないようにするためには、きちんと排石したのかを確認する必要があると山本医師は指摘している。

 結石の大きさが10ミリ以上になるなど、自然排石を期待することが難しい場合は、結石を砕いたり取り除いたりする。一つは体外衝撃波結石破砕術で、体外から衝撃波を照射して結石を細かく砕き、排出させる。山本医師はこう話す。

「3次元的に結石に焦点を合わせて破砕します。的が大きい場合は問題がありませんが、小さいと隠れてしまうこともあります。8~9割は1回の破砕で大丈夫ですが、期間をおいて数回になることもあります」

 もう一つは内視鏡を使って取り除く方法がある。山本医師によると、取り出すという確実性はあるが、結石にうまく到達できるかどうかという問題がある。

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