尿路結石症にならないようにする予防策はあるのだろうか。再発率が高いこともあって、山本医師は患者に食事指導をしており、一定の効果があるという。
シュウ酸の多い食べ物には注意が必要だ。ホウレンソウ、タケノコ、レタス、ナス、サツマイモ、ピーナツ、チョコレートなどのほか、コーヒー、紅茶、緑茶、ココアなどにも含まれる。ホウレンソウなどはゆでるとシュウ酸が少なくなるとされており、生でサラダのような食べ方は避けたい。
また、カルシウムと一緒に取ると腸内でシュウ酸と結合して便となって排泄されるため、尿中のシュウ酸が増えない。このため、ホウレンソウのおひたしには、チリメンジャコなどを加えるのもいい。
コーヒーや紅茶などを飲むときにはミルクを入れ、チョコもミルクチョコにするのがいいとされる。
一方、同じお茶でも、麦茶やほうじ茶はシュウ酸が少ないとされている。
水分を十分に取ることも忘れないようにしたい。あまり取らないと尿の濃度が濃くなってしまい、結石ができやすくなるとされる。
動物性脂肪は多く取りすぎると、腸内に脂肪酸が増えてカルシウムと結合するため、シュウ酸がカルシウムと結合するのを妨げることになる。そのため、シュウ酸が尿中に出てきて、結石ができやすくなる。
また、動物性たんぱく質をたくさん取ることで、尿が酸性化して結石ができやすくなる。肉類中心の食事は避け、野菜を取るなど、バランスのいい食事を心がけるようにしたい。
「石は夜つくられる」
専門医の間ではそう語られているという。水分補給のできない就寝中は尿が濃くなり、そこに原因となるものを食べていると結石の元となる結晶ができやすくなる。しかも体を動かさないため、結石をつくりやすい環境にもなっている。予防するには、夕食は寝る4時間前までに済ませたい。
患者の特徴として、肥満傾向や運動不足も指摘されている。山本医師は「男性の患者さんはメタボ的な人が多い」とも言う。
バランスのいい食事や適度な運動を心がけ、定期的な健康診断で早めにチェックしていくことが大切だ。(本誌・浅井秀樹)
※週刊朝日 2019年10月4日号