中谷議員によれば、マレーシア財務省の副大臣、主税局長、首相経済顧問、経済団体や労働組合のトップらに面会したという。
「朝から晩まで、1日5件程度の面会が入っていて、スケジュールはギッチリ詰まっていました。山本さんとは同じホテルで、移動の車の中でも、昼食のサンドイッチをほおばりながら、いろんな議論をしました。野党議員の間での相互理解が深まったのではないかと思っています」
マレーシアでは消費税を廃止して、個人消費が伸びた。一方で問題もあったという。消費税を廃止したことで、年間約1兆1300億円の税収が消えた。
それを穴埋めしようと、政府はSST(売上税・サービス税)と呼ばれる旧税を復活させ、約5600億円を確保したが、それでも足りず、国営石油企業から特別配当を受けるなどの対策を講じて、さらに約5600億円を調達したという。
「財源確保の議論は必要だが、将来の国民生活を見据えると、減税すべきと思います。消費増税は低所得者の暮らしを圧迫する逆進性が強くなる。今、全労働人口の約40%が非正規社員。非正規の平均年収は約175万円(月14万5千円)。こんな状況で増税したら生活はもっと苦しくなる」(中谷議員)
一方、安倍政権下では企業の内部留保は増え続け、過去最高の463兆円にまで積み上がっている。
このため、自民党内にも今回の消費増税を疑問視する声が内閣改造後もくすぶり続けている。自民党中堅議員が言う。
「財務省は景気が悪くなろうと、財政再建を念仏のように唱え、消費増税を押し通す。だが、法人税を上げたり、富裕層の金融所得課税を増税するなど時代に合った効率的な税の取り方をそろそろキチンと国会で議論したほうがいい。党内では、政調会長の岸田(文雄)さんをけしかけ、財務省にケンカを仕掛けようとしている」
(本誌・上田耕司、亀井洋志、田中将介/今西憲之)
※週刊朝日 2019年9月27日号より抜粋