今回から導入される軽減税率も含め、制度が複雑怪奇で消費者の混乱は必至だ。

 景気の落ち込みを防ぐ対策としてキャッシュレス決済時のポイント還元制度やプレミアム商品券の発行などが発表されたが、税率引き上げ後の9カ月限りで終了する。

「特に地方などがどれほどキャッシュレス社会になっているのか。現金での支払いが主流だったいままでの消費習慣を変えてまで、キャッシュレス化を進める必要があるとは思えません。不安だらけで消費増税がスタートする10月1日に、国会が開いていないというのは国民に対してあまりにも不誠実です」(角谷氏)

 野党側は消費増税や年金問題などについて政府の見解をただすため閉会中審査を求めているが、与党に応じる気配はない。

 野党は対抗策として、消費税率を8%に戻す「減税法案」を秋の臨時国会で提出する構えだ。

 国民民主党の玉木雄一郎代表は、「まず税率を8%に下げる『消費税見直し法案』の提出を検討する」とぶち上げている。

 立憲民主党の枝野幸男代表も「まずは8%に戻すのを急がせないといけない」と減税法案提出に前向きだ。

 そのキーパーソンとなるのが、7月の参院選で「消費税廃止」を訴え、旋風を巻き起こしたれいわ新選組の山本太郎代表だ。減税法案はれいわを媒介にし、野党共闘の結集軸となる可能性を秘めているのだ。

 その山本代表と若手議員ら一行が、マレーシアの地に降り立ったのは8月26~27日のこと。

 この視察を呼びかけた立憲の中谷一馬衆院議員(36)はこう語る。

「マレーシアは世界で初めて消費税を廃止した国です。消費税ゼロが経済や消費にどういう影響を与えたのか、良い面も悪い面も両方知りたかった」

 マレーシアでは昨年5月、総選挙が行われ、元首相のマハティール氏(93)率いる野党連合が「消費税廃止」を訴え、歴史的勝利を収めた。マレーシアにとっては「初の政権交代」だった。政権交代後、マハティール首相は昨年6月1日、6%の消費税(GST)を廃止した。それから1年3カ月が経過した現状を現地調査した。

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