

「トイレみたいなにおいがする」
「正直、臭い」
8月11日に東京・お台場海浜公園で開かれた水泳のオープンウォータースイミング(OWS)の2020年東京五輪テスト大会。5キロ(本番は10キロ)を泳いだ選手らが次々とそう訴えた。
さらにその6日後の17日。東京パラリンピックのテスト大会を兼ねたパラトライアスロンのワールドカップ(W杯)は会場のお台場の水質が悪化したため、何とスイムが中止に。ラン、バイクによるデュアスロンに変更された。
コースは東京湾の入り江にある。大会組織委員会は大腸菌類の侵入を防ぐため、入り江の口をふさぐように約400メートルにわたってポリエステル製の水中スクリーンを設けた。だが、大会関係者によると、16日午後1時の水質検査で大腸菌の値が国際トライアスロン連合(ITU)の定める上限の2倍を超えた。17日午前3時の時点でスイムの中止を決めたという。
15、16両日午前にあったトライアスロンの五輪選考会を兼ねたテスト大会は水質に問題はなく、スイムは通常どおり実施されていた。
大会関係者は仮説として「台風に伴う強い雨や潮目などの要素が重なった」と述べ、下水施設の処理能力を超えた汚水が流入した可能性を指摘した。
「わずか2ミリの雨量でも放流されてしまっています」
こう話すのは、東京の下水道問題についてかねて注目し調査を続けてきた、港区議の榎本茂さんだ。
榎本さんによれば、都内の汚水は各地の水再生センターと呼ばれる処理場を経てお台場などに放流されている。一定の雨量を超えると放流されるということだが、榎本さんはある可能性を指摘する。
「私の調査では、平均90日に1回放流しています。『処理能力を超えたら放流する』としていますが、実際にはいつ放流しているのかわからないのです」
榎本さんは定期的にお台場の放流場所を観察してきた。
「現場に行くと、流したかどうかは『におい』でわかります。放流場所にトイレットペーパーが溶けきれず混じった汚水が充満していました」
榎本さんは早急な「浄化」が必要と訴える。