「テレビ見てあれっと思い、手帳にあった名刺をみて宮崎とあり、こいつらやと確信しましたわ」
こう話すのは、大阪市内のタクシー運転手のKさん(47)。
「こいつら」とKさんが言うのは、あおり運転トラブルで会社員男性を殴り、逮捕された宮崎文夫容疑者(41)と喜本奈津子容疑者(51)のことだ。
Kさんが宮崎容疑者、喜本容疑者と遭遇したのは今年5月ごろのことだった。大阪・ミナミの繁華街から、お客として乗せたのが、宮崎容疑者と喜本容疑者だった。
「2人は手をつないで、仲睦まじそうに乗ってきた。宮崎容疑者が茨城県警に逮捕された現場、東住吉区の自宅を行先に告げた」(Kさん)
宮崎容疑者の指示通りに車を走らせたると、車内で2人は、両手で握りあったり、ハグしたりと「熱々カップル」(Kさん)という様子だった。
宮崎容疑者は、黒いサングラスに帽子と常磐道であおり運転した時とそっくりのいでたちだったという。2人はブランドものや外車を買うなどと話もしていた。
車があと、信号2、3つで宮崎容疑者の自宅付近に到着するかというところまで、来た時だった。歩道から突然、自転車が飛び出して、急ブレーキを踏んだ。すると宮崎容疑者がこう怒鳴り始めたという。
「こら、おまえどこみて運転してるねん」
「このアホが、大事な(ルイ・)ヴィトンのカバンが床におちたやないか弁償せんかえよ」
喜本容疑者も一緒になって、「この運転手、どうなってるの」などと合いの手を入れ、加勢する。
だが、ルイ・ヴィトンのカバンが破損したわけでもなく、Kさんは危険回避で急ブレーキを踏まざるを得なかったのだ。そう説明するが、宮崎容疑者と喜本容疑者は納得しない。「こら、弁償するか110番するか、どっちやねん」と凄み続ける宮崎容疑者。
「お客さん、カバン、どこも破損してないし、床に落ちたのは自転車が飛び出してきたからです。ご勘弁くださいよ」とKさんが言うが、自分の主張を繰り返す宮崎容疑者。
そこで、Kさんはタクシー会社に緊急の合図を送った。すると、近くにいた同僚が駆け付けてくれた。それを見た宮崎容疑者は「なんで、他のもん呼ぶねん。卑怯やないか」とごねはじめる。