大澤室長は「総じて長期使用の傾向が高齢者の方々には出ていた」と指摘。

 経年劣化問題を、経産省は高齢化社会の課題ととらえている。

 長い老後を考えて節約したいところではあるが、事故で命を落としたり、けがをしたら元も子もない。どういう点に気をつければいいのか、詳しく見ていこう。

 まず、重大事故が起きた電気製品の種類について。扇風機、照明器具、換気扇のほか、冷蔵庫やエアコン、電子レンジ、ブラウン管テレビ、温水洗浄便座、ビルトイン式電気食器洗機、インターホンなどがある。

 事故はどのようにして起こるのか。具体的なケースをいくつか紹介すると、例えば、14年8月に埼玉県の工場で、約36年使用していた扇風機から火災が発生した事故。始動用コンデンサーの絶縁が低下したことが要因と推定されている。

 また、照明器具によって14年4月に本県で起きた火災。引きひもでスイッチを入れた際に、照明器具が焼損し、周辺を汚損する火災となった。内部のコンデンサーの劣化により過熱、出火し、樹脂製カバーに着火したとみられている。

 エアコンの火災は13年4月に愛知県で発生した。約20年使用していた製品で、パワーリレー接点部に接触不良が生じて異常発熱し、出火したとみられている。

 こうした事故を起こさないためには、予兆に注意すること。予兆があったら、使用を停止することだ。
「扇風機なら壊れる前に予兆があります。このほか、比較的、予兆が表れやすい製品にはエアコンや換気扇があります」

 と製品評価技術基盤機構(NITE)の担当者は警鐘を鳴らす。

 しかし、消費者庁が16年に1800人を対象にした家電製品の長期使用に関するアンケートによると、扇風機を使用中に「異常な音がする」とか「モーター部分が熱い」など不具合を見つけたことがあると27%が回答し、このうち約半数は使用を中止せず、様子を見ながら使い続けていた。

 異常な音や振動、におい、発熱といった不具合を見つけたら、直ちに使用を停止し、メーカーや販売店に相談するよう消費者庁は呼びかけている。

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