弟(左)とドラフト会場に入場した八村塁(中央)(C)朝日新聞社
弟(左)とドラフト会場に入場した八村塁(中央)(C)朝日新聞社
裏地にベナンと日本をイメージした柄をあしらうジャケットを着用する八村塁(C)NBAジャパン
裏地にベナンと日本をイメージした柄をあしらうジャケットを着用する八村塁(C)NBAジャパン

 バスケットボール界で、とんでもない快挙が起きた。

 全米大学体育協会(NCAA)男子1部、ゴンザガ大の八村塁(21)が6月20日(日本時間21日)、米ニューヨークで開かれた米プロ、NBAのドラフトで、ワシントン・ウィザーズから1巡目(全体9位)指名された。ドラフト1巡目指名は日本人初だ。

 1981年に身長228センチの岡山恭崇氏(64)=当時・住友金属=がウォリアーズに8巡目(全体171位)指名されたが、契約しなかった。

 国内外のバスケ事情に詳しいスポーツコンサルティング企業「ライムズ」の平将貴社長は、解説する。

「バスケの競技人口は世界一で、4億人。(今の)NBAでは1巡目30人と2巡目30人の計60人しか指名されない。エリート中のエリートといえます」

 単純計算にはなるが、男子の競技人口を半分と仮定すると2億人。そのうち、0・00003%しか指名されない「超」狭き門だ。八村はドラフト全体で10~20番目の間で指名されると予想されていたが、それを上回る評価を得た形だ。

 さらに仰天なのが破格の契約内容だ。

 ドラフト1巡目選手の年俸は指名順位によって上下限が決まっている。交渉次第ではあるが、八村の1季目は約4億円とみられ、2季目も同額以上の契約が保証される。

 日本では、プロ野球でドラフト1位指名されても最高年俸は1500万円。バスケ界では、3日にBリーグ千葉の富樫勇樹(25)が日本出身初の1億円選手になったことが発表されたが、スケールはケタ違いだ。

 さらに、八村は日本人で初めて、米ナイキ社の「ジョーダン・ブランド」と契約した。「バスケットの神様」と呼ばれたNBAのかつてのスーパースター、マイケル・ジョーダン氏の名を冠したブランドで、同社が21日(日本時間22日)に発表した。ジョーダン氏はウィザーズでプレーしたことがある。

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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父はベナン人、母は日本人