「昨年はマギーが三塁で結果を残していたので、起用法で悩む必要がなかった。今年も春先に巨人が強かったのは、ビヤヌエバを三塁で固定できたのが大きな要因だと思います」

 巨人の「4番・三塁」はスターの代名詞を意味する。長嶋茂雄終身名誉監督、原辰徳監督とチームを引っ張ってきた。

 昨年の秋季キャンプでは、原監督が岡本を三塁で起用する構想を口にしたことがあった。実際、三塁の守備が下手なわけではない。今後、三塁で出場する機会が増えるだろう。

 他球団のスコアラーは、こう明かす。

「岡本を三塁で固定されたほうが厄介ですね」

 その理由を聞くと、意外な言葉が返ってきた。

「一塁で阿部慎之助が出場するプランが生まれるからです。今年から捕手に復帰しましたが、あの勝負強い打撃は脅威です。クリーンアップの後の6、7番に控えていると投手も息が抜けない。代打の切り札より4打席立たれたほうが嫌です」

 阿部は昨年、一塁を主戦場に95試合出場で打率2割4分7厘、11本塁打。全盛期の力はないが、打撃技術は卓越している。6月1日の中日戦(東京ドーム)では、途中出場で今季1号を放った。

 上位打線は打撃三冠王を狙える坂本勇人、広島からフリーエージェント(FA)加入した丸佳浩、4番・岡本と豪華なタレントがそろう。下位に阿部が控えれば、打線に厚みも出る。

 毎試合出場は肉体的に厳しいかもしれない。だが、選択肢として検討の余地があるかもしれない。(梅宮昌宗)

週刊朝日  2019年6月14日号