この原穴は手首に6カ所、足首に6カ所あります。太極拳の動きは手首のスナップを利かせたり、前後左右へ足を運んだりで、手首と足首の原穴に刺激を与えます。これが大きいのです。原穴が刺激されることで生命が活性化します。

 私にとって、太極拳は一番の養生法です。そして、極めることのできない終わりなき自己実現の道です。これから何十年と、あの世に行っても続けていきたいと思っています。

 1年間にわたって、認知症の予防法をいろいろ考えてきました。最初に認知症は老化現象であるから、人間をまるごととらえるホリスティック医学からのアプローチが必要だと書きましたが、その考えは間違っていませんでした。そして、認知症予防のヒントが日々の生活のなかに数多く隠れていることがわかりました。まさに日々の養生が求められるのです。

 よりよく老いる。これがこれからの生き方に求められています。老いることに抵抗するアンチ・エイジングではありません。目指すべきは、「ナイス・エイジング」なのです。

 次回からはこのナイス・エイジングのすすめを書いていきたいと思います。

週刊朝日  2019年6月7日号

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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