



主な私大入試の結果は出そろったが、「文高理低」にかげりが見え、理系の「東芝電工」の志願者が大きく増えた。このほか、ビジネス系や国際教養系の学部を強化する女子大が復権した。一方で、高得点化したセンター利用入試は受験生を苦しめたようだ。
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各大学グループのセンター利用を除く一般入試方式の志願動向を見てみよう。
難関私大は志願者を大きく減らした。早慶は6.5%、SMART+CHは5%、関関同立は5.1%減少。難関私大に挑戦する受験生が減ったとみられる。
反対に志願者を伸ばしたのは中堅の有名私大だ。日東駒専は、危険タックル問題で大きく志願者を減らした日大を除くと、10.7%、大東亜帝国は5.3%増加している。関西では産近甲龍が3.1%、摂神追桃が27.5%増加した。
志願者増加率ランキングを見ても同じ傾向にある。関東では桜美林大が69%、武蔵野大65%増加、関西でも大阪経済法科大が98%、阪南大59%、追手門学院大49%、神戸学院大38%と激増している大学が目立つ。駿台教育研究所進学情報事業部の石原賢一部長はこう見る。
「日東駒専、産近甲龍の次のグループが激戦となった。ここ数年、合格する実力がありながらも難関私大を不合格となった受験生を見てきたため、高校の先生や現役受験生たちは安全校となる大学の併願を増やしているのでしょう」
次にセンター利用方式の志願動向を見ると、こちらは早慶、関関同立などの難関私大を含め、軒並み志願者が増えた。日東駒専も日大を除くと3.9%の増加だった。この動向について、河合塾教育情報部の岩瀬香織チーフはこう見る。
「難関私大が難関国立大志願者の安全校という位置づけが崩れました。そのため難易度の一つ低い大学、さらに低い大学を併願する受験生が多く、私大専願者も受験校を慎重に選んだと見ています」
私大のセンター利用入試は高得点での競争となった。指定校推薦やAO入試などの影響で、一般入試の募集人員が減ったこともあり、思わぬ苦戦を強いられた受験生も多かっただろう。
獨協大・法・総合政策(前期2)は前年より105点アップの790点。立教大・観光・観光(3科目)は75点アップの875点、武蔵大・経済・金融(前期)は100点アップの845点だった。センター試験で英語リスニングと国語の平均点が上がったことも、ボーダーラインを上げたと見られる。