「センター利用入試は宝くじを買うようなもので、滑り止めだと思っていても不合格になることもある。確実に合格したい受験生には一般入試の受験を勧めました」(石原さん)

 志願動向を見ると女子大人気の復活が見て取れる。関東と関西の主要女子大の志願者数を見ると5.9%も増え、清泉女子大や昭和女子大などの増加が目立つ。

 駿台の石原さんによると、津田塾大や日本女子大などはかつて、早慶など難関私大にも匹敵する人気を誇っていたが、女子受験生の共学志向もあり、人気を落としていた。しかし、近年は新学部の設置や、キャンパスを都心に移転するなどの取り組みが支持されているという。

「良妻賢母や一般教養を重視してきた女子大が、資格取得型に変革し、現在はビジネス系や国際教養系に力を入れ、再評価されている」(同)

 志願動向でもう一つ注目するのは、理系人気だ。これまで文系に人気が集まる「文高理低」が続いてきたが、「東芝電工」は16.6%も増加し、千葉工業大、芝浦工業大などは志願倍率ランキングでも上位にランクインしている。

「ビッグデータやAI、ICT(情報通信技術)に秀でた人材のニーズが高まっている。それらが学べる情報系や電気電子系の学部が人気を集めています。これから先、就職先を選べる可能性が高いことも人気の背景でしょう」(同)

 今年も多くの大学で定員厳格化の影響が出ており、そのあおりを受けた受験生も多くいたと想定される。来年は現行のセンター試験が最後となり、さらに受験生の安全志向が見込まれる。戦略的な受験計画を立ててほしい。(本誌・吉崎洋夫)

週刊朝日  2019年3月15日号

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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