傷つけられた窓は保険でカバーできましたけれど、それで済む話ではないと思います」。副島さんはこみ上げてくる怒りを抑えることができない。

「昔から言われていることですが、そもそも空き家の隣というのはとても危ないんです。なぜなら侵入犯罪者は“ガラス破り”という手口を使いますから、どうやっても多少は音がしてしまうでしょう。でも隣が空き家だったら、その物音に気づく人は当然少なくなる。隣が空き家、周囲の家が空き家、というのは侵入犯罪者にとってはとても都合のいい環境なのです」と教えてくれたのは、防犯アナリストの桜井礼子さんだ。確かに隣が空き家なら、器物損壊の音を聞かれる可能性も不法侵入の現場を見られる可能性も低くなる。犯罪を企む輩は、犯罪がバレにくい場所に敏感なのだ。

 続けて桜井さんは言う。「一番気をつけていただきたいのは、角地に立っている家です」

 それは、なぜ?

「角地の場合、両サイドに家がある家より下見がしやすいでしょう? また、侵入もしやすい。そしてもし侵入が見つかったときでも、多方向に逃走がしやすい。このように好条件がいくつもそろっているので、角地は狙われやすいと考えられているんです」

 日本全国の空き家はいま増加の一途をたどっている。2014年の国土交通省の「空家実態調査」によると、空き家の56.4%は相続による取得だという。「親から相続はしたが、もともと別居していたので特に住む予定はない」→「でも当面は所有しておくか。そうすぐに決めることでもないし」。そんな流れから、“活用されずに空いている家”はこれからも増え続けていくかもしれない。ならばもし近隣に急激に空き家が増えてきたとき、自分の家を守るためにはどうしたらいいのだろうか。

「まず自分の家の敷地内の見通しをよくしておくことです。外構を塀ではなく背の高いフェンスにするとか、あるいはブロック塀などの見通しの悪い塀なら地面からの高さを120センチから140センチくらいにしておくとか。要は敷地内で侵入犯罪者が何かしようとしても外を通る人がいたら“丸見え”という状況にすること。植木が茂っているところがあるのなら人の目線の高さで剪定し、敷地の中を見えやすくするのです」(桜井さん)

週刊朝日  2019年3月1日号より抜粋