名手ぞろいで起用に悩みそうだ(右上から菊池、山田、浅村) (c)朝日新聞社
名手ぞろいで起用に悩みそうだ(右上から菊池、山田、浅村) (c)朝日新聞社

 侍ジャパンで最もハイレベルなレギュラー争いが繰り広げられるのが二塁手だ。卓越した守備能力を誇る広島の菊池涼介、史上初の3度のトリプルスリーを達成したヤクルトの山田哲人、豪快な打撃で魅了する楽天の浅村栄斗……。

 国際試合は一つのミスが勝敗を分けるだけに、守備のうまい選手が重宝される。菊池は2013年に侍ジャパンに初選出されるとその後は常連となり、17年WBCにも出場した。

 昨季は打率・233と打撃不振だったが、稲葉篤紀・日本代表監督の信頼は揺るがない。「2018日米野球」には昨年8月の先行発表の時点でメンバーに選出された。

 山田も侍ジャパンに欠かせない選手だ。打撃と走塁が注目されるが、守備も年々向上している。菊池がいるため、ゴールデングラブ賞には縁がないが、昨年11月の日米野球では好守を再三披露し、米国メディアに高く評価された。守備範囲の広さを示すRFの数値を比較すると、昨年は山田が5.64で菊池の5.15を上回っている。「山田がゴールデングラブ賞に選ばれるべきでは」という意見も出るほどで、二塁の守備でも球界屈指の名手に近づいている。

 侍ジャパンの二塁は菊池、山田のどちらかが守るケースが大半だったが、この争いに割って入る潜在力があるのが浅村だ。

 昨年は西武の主将として打率・310、32本塁打、127打点。自身2度目の打点王でチームを10年ぶりのリーグ優勝に導き、オフにはFAで楽天に移籍した。球界屈指の名二塁手ではあるが、WBC、五輪は未経験で、日の丸には不思議と縁がない。

 1月に自主トレを公開した際は、「(国際大会は)1試合で全て終わってしまう可能性もある。そういう経験ができたら、自分の人生にとって大きなものになると思う」と侍ジャパンへの熱い思いを吐露した。菊池、山田と実力は遜色ないだけに、稲葉監督も頭を悩ませるだろう。

 菊池はポスティングシステムでのメジャーリーグ挑戦を希望している。19年オフに海外移籍した場合はMLBがメジャーリーガーの選手派遣に消極的なため、20年の東京五輪に出場できないことも想定されるが……。

 菊池か、山田か、浅村か。三つどもえの争いから目が離せない。(今中洋介)

週刊朝日  2019年2月15日号