トリプル・ギターのバンド・スタイルという点では、レーナード・スキナード、フー・ファイターズなどの先例がある。だが鈴木は、ギター3台で音の壁を作り出す王道ではなく、3人の個性を生かしたスタイルを追求。リフやフレーズのアイデアもギターでなく、ギター・ソフトを使ったキーボードで考案した。そういったあたりからも演奏、サウンド展開への意欲がうかがえる。

 コンスパは、鈴木のアイデアで結成されたバンドではあるが、鈴木のワン・マンバンドではない。メンバーの全員が作曲を手がけ、メイン・ヴォーカル、コーラスの3人が作詞を担当し、作詞、作曲の組み合わせも変化する。編曲にあたっては作詞、作曲者が主体となりながら、メンバー全員がアイデアを持ち寄る。偶発的な展開を重視しようという柔軟な音楽姿勢だ。

 グループ名は、論争のスパーク、火の粉といった意味だが、デビュー・シングル『Controversial Spark』以来、グループ名そのままに5人の個性が火花を散らす演奏、サウンドを作り出してきた。

 デビュー・アルバム『Section I』では多彩な音楽展開による斬新でハイブリッドなポップ・スタイルを実践。トリプル・ギターによるギター・アンサンブルだけでなく、konoreのキュートな歌声が醸し出すガール・ポップ的な魅力、鈴木とのかけ合いなどヴォーカル、コーラスのアンサンブルの妙も聴かせどころになっていた。

 2作目となる本作は、デビュー作からさらにパワー・アップ。うねるヘヴィーなベース、それに呼応するギターのリフ。シャープなドラムに、ざっくりとしたリズム・ギター。その合間をかいくぐる奇怪なギターのフレーズが印象的だ。

 幕開けの「Lifetime」は変拍子で始まり、サイケ/プログレ的展開を見せる。ささやきかけるようなkonoreの歌、コーラス・サポートの鈴木とのアンサンブルが聴きどころ。

 続く「赤と緑のGood―bye」は、鈴木とkonoreが交互に歌詞を書いた。自殺がテーマという。スピーディーなドラムとギター・リフで始まりながら、歌に入ると甘いポップス風、さらにはサイケ的な展開に。

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知的で深みのあるロック・アルバム…残りの曲は?