「助成金不交付となる入学定員の基準のほかに、『学部設置等の認可申請の基準』があります。収容定員4千人以上で設置学部定員300人以上の大学の場合には、助成金不交付の基準値1.1倍以上よりもさらに厳しい1.05倍未満が基準値です。このため、19年に学部新設を予定していた立命館大、青山学院大、中央大などは、定員充足率を低く抑える必要があり、合格者を絞ったのだと思います」(河合塾・富沢部長)

 学部の新設を認可申請する場合、16年までは、「既存学部の過去4年間(修業年限)の入学定員充足率の平均が1.3倍未満である必要がある」という基準だったが、17年以降は新設の基準が厳しくなった。

 収容定員が4千人以上で設置学部定員300人以上の大学が学部新設を目指す場合、17年度新設が1.25倍未満、18年度新設が1.15倍未満、19年度以降の新設だと1.05倍未満の定員充足率となることが求められている。既存学部の過去4年間の平均で見るため、学部を新設したい場合には、定員割れを起こすぐらいに合格者を絞り込む必要があるのだ。

 主な私立大のなかで18年の入学定員充足率が最も低いのは立命館大の92.1%。合格者数を絞り込み、このような低い数値になっているのには意図的な理由がある。

 立命館大学入学センターの川口潔担当部長は、定員充足率の低さと新設学部について、こう説明する。

「本学では18年度に食マネジメント学部を新設しました。19年には、本学とオーストラリア国立大学で学び、両大学の学位を得られるグローバル教養学部を新設します。2年連続で学部を新設するため、17年から慎重に合格者を絞り込んできましたが、19年は1.0を下回る必要はありません。各学部で異なりますが、大学全体としては緩やかに合否判定をして、合格者数を増やす予定です」

 このように、19年に新設する大学は、大学全体での合格者数が増える可能性が高い。19年に学部を新設する主な大学は、立命館大のほかに青山学院大(コミュニティ人間科学部)、中央大(国際経営学部と国際情報学部)、京都産業大(国際関係学部と生命科学部)。この4大学は18年の入学定員充足率がいずれも96%以下だ。18年の定員充足率が90%台の法政大、明治大立教大、関西学院大も、19年は合否判定が緩やかになりそうだ。

■推薦入試志望者が増加、志望理由書、小論文添削に追われ

 16年度から私大入試が難化しているが、高校の進路指導や高3生の志望動向に変化はあるのだろうか。

 埼玉県の私立中高一貫校では、ここ数年の私大難化の影響で、今年は推薦・AO入試を受ける生徒が多いという。

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