「19年の基準値は昨年と変わりませんが、予定されていた減額措置が見送りになったのは、プラスの話だと感じています。18年のMARCHの定員充足率はすべて定員割れとなっていますので、19年はもう少し合格者を増やしてほしいと思っています」(同)

 毎年、東大の合格者を出し、早慶に強い中高一貫の女子校として知られる洗足学園(神奈川)では、基準値が定員の1.2倍以上から1.17倍以上と厳しくなった16年度には、早稲田大が75人から92人、慶應大が57人から93人と合格者を増やし、影響を受けなかった。1.17倍以上から1.14倍以上と厳しくなった17年度には慶應大の合格者は21人減ったが、早稲田大の合格者は23人増え、早慶の合計だとほぼ同じで、この年もあまり影響が感じられなかった。

 ところが1.14倍以上から1.1倍以上と厳しくなった18年度は、早稲田大が45人減の70人と大きく減らし、慶應大は5人減の67人となった。

「16年度、17年度は定員管理の厳格化の影響をあまり感じませんでしたが、18年度入試では強く実感しました。早稲田大に受かると思っていた生徒が不合格になりました。ただ、早稲田大は2年間で3444人も合格者が減っているのだから仕方ありませんね。18年は特に合格者数の絞り込みが厳しくて、結果的に定員割れになった大学も多いため、19年の合格者の絞り込みは少し緩やかになるのではないかと思っています」(校務主任の中東誠教諭)

■多くの難関私立大を敬遠傾向、受験校の幅広い選択ポイント

 9月実施の「第1回駿台・ベネッセマーク模試」での私立大の志望動向を三つのグループに分けた。

 前出の駿台・石原部長は、「11月の結果だとある程度志望動向を読めるのですが、9月の結果ですから、この先変動する可能性があります」と前置きしたうえで、こう分析する。

「難関私立大で昨年より志望者が増えたのは東京理科大だけで、学習院大は同じ。それ以外の大学は敬遠傾向です。ただ、成績上位層は変わらずに早慶を受けるでしょう。MARCHの志望者指数は減りすぎという感じですね。18年に入学定員充足率が低かった明治大青山学院大、中央大などは合格者を増やすでしょうから、本番では受験生は減らないと思います」

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