私大の入学定員管理の厳格化に受験生も志望校選びに悩まされる(写真はイメージです)(c)朝日新聞社
私大の入学定員管理の厳格化に受験生も志望校選びに悩まされる(写真はイメージです)(c)朝日新聞社
入学定員充足率による不交付基準(週刊朝日 2018年12月7日号より)
入学定員充足率による不交付基準(週刊朝日 2018年12月7日号より)
主な私立大の入試結果(週刊朝日 2018年12月7日号より)
主な私立大の入試結果(週刊朝日 2018年12月7日号より)
主な私立大の入学定員充足率(週刊朝日 2018年12月7日号より)
主な私立大の入学定員充足率(週刊朝日 2018年12月7日号より)
模試の志望動向(週刊朝日 2018年12月7日号より)
模試の志望動向(週刊朝日 2018年12月7日号より)

 2016年入試から私立大の入学定員管理の厳格化が始まり、特に私立大文系の入試は年々難化し、少子化なのに、サバイバルレースの様相を呈している。19年からは定員を超えると私学助成金が減額される予定だったが、「減額は当面見送り」と決まった。大学にも受験生にもプラスに働くのかもしれないが、19年入試に与える影響はいかなるものか。予備校や大学の関係者が分析する。

【図を見る】入学定員充足率による不交付基準、主な私立大の入学定員充足率などはこちら

 少子化の時代なのに、2016年以降、私立大入試は年々難化している。文系人気の回復もあってか、特に文系の入試が厳しくなっている。

 最も大きな原因は、入学定員管理の厳格化だ。同年以降、大~中規模大学が合格者数を絞り込んでいる。たとえば、18年の合格者数を16年と比べると、早稲田大は計3444人、法政大は計5644人、立命館大は計6988人も減った。さらに明治大青山学院大立教大も2千人以上合格者数を減らした。この結果、3大都市圏を中心に浪人生が増えることになったのだ。

 駿台教育研究所進学情報事業部の石原賢一部長は、浪人生の増加について、こう説明する。

「18年は駿台への私立大文系の入学者が前年よりも2割ほど増えています。一方で3月下旬になって入学をやめたケースもあります。各大学が合格者数を絞り込み、その後、繰り上げ合格で定員に近づけるからです」

 入学定員管理の厳格化は、3大都市圏の大~中規模大学への学生の集中を是正し、地方大学の定員充足率を上げるために始まった。

 15年度入試までは、私学助成金(私立大学等経常費補助金)が交付されなくなる入学定員充足率(入学定員に対する入学者数の割合)は、収容定員8千人以上の大規模大学は1.2倍以上、8千人未満の大学は1.3倍以上だった。

 その基準が8千人以上の大規模大学の場合、16年度は1.17倍以上、17年度は1.14倍以上、18年度以降は1.1倍以上と段階的に厳格化した。また、4千~8千人の大学でも、16年度は1.27倍以上、17年度は1.24倍以上、18年度以降は1.2倍以上と厳しくなった。このため、各大学は基準値を超えないように、合格者を絞り込むことになったのだ。

 合格者数が減る傾向であるのに対し、受験生は受験する大学数を増やし、その結果、各大学の志願者数も増えていった。志願者数が増えて合格者数が減るのだから、当然のように、倍率は上がる。

 志願者数が2年連続で全国2位、東日本1位を誇る法政大の場合、志願者数は16年から10万1976人、11万9206人、12万2499人と、年々増えている。

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